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「Cybozu Days 2017」~壁を超える~

【クラウド見て聞きある記(その192)】
平成29年11月8日~9日に、海浜幕張駅近くの幕張メッセで開催された、サイボウズ株式会社主催の“「Cybozu Days 2017」~壁を超える~”が開催され、両日共に参加した。今年は、サイボウズ株式会社は創業20周年に当たり、次の10年に、さらにチャレンジして行く決意を込め、”壁を超える”をテーマに開催された。

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“Cybozu Days”は、昨年から名称を変え(従来はCybozu.comカンファレンス)、場所も都心のホテルから幕張メッセに変更して行われ、また、日程も昨年から2日に分けて行われる様になり、参加者から見て余裕ある内容になっている。

少し交通の便は悪くなっているが、圧倒的な会場の広さや1フロアーである事の利点を生かし、参加者を楽しませる仕組みが沢山あり、不便さを補って余りある内容になっていた。

サイボウズ社は、いち早くクラウドをインフラとしたサービス(Cybozu.com)の提供を行い、サービス機能の拡大もあり順調(以上)に規模の拡大を行っている。

また、クラウドでは日本市場の特殊性を見越して、自社のプロセスに合わせてカスタムなシステム構築を簡単に行う事が出来る“Kintone”をリリースし、ユーザ企業からの圧倒的な 支持をうけ、業績を大きく押し上げる要因になっている。(最近、クラウド環境下で、カスタマイズシステム構築に力を入れる所が多い:セールスフォース・ドットコム社等)

日本では、クラウドの有効性についてサービスを利用する(SaaS)事に注目が集まり、クラウド上でのモノづくり(アプリを作る)には注目が集まらなかったが、日本の企業での仕事のプロセスを考えると、結果として見直しが始まっており、サイボウズ社の先見の妙があったものと思われる。

数年前から、青野社長の念願であったKintoneによる海外展開も、一時低迷期があったものの、最近では、米国やアジア諸国でも認知度が上がっており、ビジネスとしても軌道に乗りつつある様に聞いている。

このKintoneを中心に、㈱ジョイゾーの新しいシステム開発手法(革新的な)である“システム39”等の創出、パートナー企業による“Kintone Cafe”の自主的な設立と全国展開(サイボウズ社は支援のみ)、Kintoneプラグインマーケットの創立、開発者を支援する為の“Develorer Network”の設立等、大きな輪が広がっており、販売促進の糧になっている。

もう一つの大きな事は、サイボウズ社の営業姿勢にあると思う。小生も現役時代は大手のIT企業におりSEやPMを経験したが、営業上で大手企業と中堅中小企業に対する大きなギャップがあり、それが価格設定に現れていると思う。

ギャップで一番大きなものは、“1万円を高い”と思うのか、“10万円を安い”と思うのかの違いだと思う。これを考えるとKintoneの価格設定は絶妙だと思うし、支持される大きな要因だと思う。

今回のイベントは、1日目がProduct Academyとして、製品を利用している企業や製品に興味の有る企業向けに11時からハンズオン、午後からは基調講演とセッションが、終了後はファンミーティング等が行われた。2日目はBusiness Conferenceとして「壁を超える」をテーマに、11時から基調講演が、午後からは各種のセッションが行われた。

イベントには、今後のサイボウズ社の製品戦略やサービス内容、具体的な事例、パートナー企業の把握等を行う為に参加した。

今回は1日目と2日目の両日参加したので、その概要について基調講演を中心に報告する。

Ⅰ.基調講演
基調講演は1日目の午後と2日目の午前中に行われた。 両日共に参加したので概略について報告する。

1.基調講演1(7日)
“Ready for Next Jump”と題し、サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野 慶久氏から講演があった。

最初に、今年のテーマ(壁を超える)の設定した意味、今回の参加登録者数が6,000名を超えた事(来年はこれを超える事が必須課題に!)、Day1とDay2の内容の違いの説明等が行われた。

次に、既存製品の状況説明が行われた。Cyboze Liveが2019年4月にサービス終了になる事、新規事業としてメソッド事業を立ち上げ併せて「チームワーク総研」を立ち上げた事、グローバル化として米国でのKintone導入が70社から160社に拡大したこと、Asia-Pacific内で台湾に事務所を立ち上げた事、メールワイズの導入企業が3,300社に、Officeが12,000社に導入されその内55%がグループウェア初導入である事、Garoonのクラウド版の導入が994社に上りパッケージ版も相変わらず伸びている事、Garoonの今後の強化予定等についての話があった。

その後、Kintone事業の責任者である、サイボウズ株式会社 kintone プロダクトマネージャー 伊佐 政隆氏からKintoneビジネスに関する話があった。

6年前にサービス開始し7,500社で利用されている事、API/プラグインの強化、1日当たり996件のアプリが増えて居る事、ユーザ会を世界8都市で実施した事、資格認定制度を開始したこと等の現状報告があった。

最後に、Kintoneの今後の開発方針と、具体的な機能強化の内容についての説明があった。

2.基調講演2(8日)
“壁を超える”と題し、サプライズとして“ゴスペルの生歌”が披露されたのち、前日に続き青野社長から3名のゲストを迎えて、基調講演が行われた。

まず、最初に青野社長から今回のイベントについての説明があり、今年のテーマとして取り上げた“壁を超える“の意味(一律の壁を超え100人居れば100通りの働き方が)、最近話題になっているサイボウズ社としての“働き方改革”への取り組みについて等の話しがあり、その後3名のゲストを迎えて、テーマ毎にディスカッション形式で行われた。

□ ゲスト1
最近、絵本作家としても脚光を浴びている、芸人キングコングの西野 亮廣氏を迎えてディスカッションが行われた。

今回の絵本を販売するにあたり、既存の考え方による壁を超えるために実施したこと、考えた事、行動の最終的な目的等についての話があった。良く考えられた動きだと思った。

□ ゲスト2
ゼンダー問題に真正面から取り組んでいる、Letibee 代表取締役 外山 雄太氏を迎えて、今問題になっているLGBTの問題への取り組み等についての話があった。

□ ゲスト3
多様な働き方を支援する為に必要となる保育問題に取り組んでいる、認定NPO法人フローレンス 代表理事 駒崎 弘樹氏を迎えて、基本的な考え方や具体的な取り組み、課題等についての話があった。

ゲストの3名は、いずれも働き方改革をおこなう為には必要となる“超えるべき壁”に挑戦し成果を出している話であり、取り組み姿勢や考え方等、参考になる内容だった。

Ⅱ.ブレークアウトセッション1(1日目)
基調講演終了後、5会場に分かれて“Kintone Award”の最終発表会や表彰式、“Kintone HAC”と称したハッカソンを中心に各種行事や、製品説明会、展示会ツアー等が行われた。3つのセッションと行事に参加したので概略を報告する。

1.行事1
“kintone hive ーkintone AWARD ファイナリストによる事例講演”と題し、5社による事例発表が行われた。

Kintoneを活用した業務改善ノウハウをユーザー同士で共有しあう交流型イベントとして、今年は東京・大阪・名古屋・福岡・上海にて「Kintone hive(キントーンハイブ)」を開催し、一般Web投票と推薦により選ばれたファイナリスト5社が自社事例をプレゼンし、最も素晴らしい活用方法の企業を表彰するイベント。

 発表企業
  ① 京屋染物店(グランプリ)
  ② 大阪産業大学
  ③ 株式会社ダイワ
  ④ 株式会社リクルートキャリア
  ⑤ 株式会社ネオラボ

中々、面白い発表でKintoneでのシステム開発事例としては勿論、一般的なIT化としても参考になる事例だと思う。(内容についてはネットで公開されているので参照されたい)

2.ハッカソン
“ kintone hack -ここまでできる!kintone-”と題し、Kintoneエバンジェリスト7名により、1年間温めたアイディアをKintoneで実現する具体的なシステムの発表が行われた。

採点は聴講者に配られたタオルを頭上に上げ、それをカウントする方式。

3.トークイベント
“サイボウズ ファンミーティング in MAKUHARI 2017”と題し、今年はユーザ以外の方も(サイボウズ製品のファンであれば)参加可能になり、青野社長からチームワークや仕事のこと、普段なかなか聞けない裏話まで、且つ、参加者からの質問も受け付け、かなり際どい話しも聞く事が出来た。

参加者同士でのチームを作っての共同作業もあり、中々面白いイベントになっていた。

Ⅲ.ブレークアウトセッション2(2日目)
2日目の午後にはランチセッションを皮切りに、6会場でセッションが行われたが、その中で3セッションを聴講したのでその概略を報告する。特別講演については、話中心であり講演者と少しの感想のみを報告する。

1.セッション1(ランチセッション)
“【RPA元年!】RPA×kintoneで、人とロボットが共に働く世界を描く”と題し、日本RPA協会 RPAテクノロジーズ 代表取締役社長 大角 暢之氏から、ゲストを迎えて講演があった。

RPAホールディングス㈱の説明、第4次産業革命で注目されるRPA、RPAの本質、RPAの普及に向けて等についての説明があった。その後、具体的な取り組みとして日立システムズ㈱の高橋氏から導入事例の紹介があった。

2.セッション2(招待講演)
“ エリートだらけの組織で輝くために ー自分を知ることの大切さー”と題し、元プロ野球選手 スポーツコメンテーター 鈴木 尚広氏から講演があった。

レギュラーでなかった鈴木選手が、20年間も選手であり続ける事が出来たのは、“準備”、“積み重ね”、“自分軸”を大切にしたのが要因になった等の話しがあった。

3.セッション3
“『よなよなエール流』熱狂ブランド戦略 ーどん底からクラフトビール最大手への道ー”と題し、株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手 直行氏から講演があった。

地ビールメーカである同社が、紆余曲折があり、結果としてブランド戦略を徹底する事により、No.1地ビールに育てた話があった。中途半端ではダメで徹底してやる事の重要性が伝わる内容だった。

Ⅳ.特別講演
2日目の最後に叶姉妹を招いて特別講演が行われた。今回のテーマは“壁を超える”であるが、最初の質問に対する答えが“私たちには壁が無い”との答えで、どうなるかと心配したが、これにも理由があり、中々面白い内容だった。ここまで徹底している事が叶姉妹の魅力だと思う。

Ⅴ.展示会
主催者に加えて、50社を超える協賛各社から最新のソリューションを体験できるブースや、サイボウズグッズ等が買えるサイボウズグッズショップなど、サイボウズの全てを体感できる内容になっていた。

サイボウズブースでは、①“サイボウズOffice”、②“ツールで実現!働き方改革”③“Kintone”、④“Developer network“、⑤”Garoon“、⑥”メールワイズ“の6つに分かれて展示されており、製品やソリューションを知り・体験等が出来る様になっていた。また、体力測定やサッカーのPKコーナ等、遊び心も併せ持った展示になっていた。

協賛企業からは、各種の連携ソフトやプラグイン、セキュリティ、先進の開発手法、RPA等の展示が行われており、サイボウズOfficeやKintoneを中心に、大規模なエコシステムが出来上がっていた。会場も広く展示スペースも大きいので、見て回る方もストレスなく見学・質問等を行う事が出来た。

Ⅵ.全体的な感想
イベントの目的として、事業拡大の為には、既存のユーザを大切にする事は勿論だが、新しくこれからお客様になっていただく方を、より大切にしなければならない、と言われており、この為には企業を知って貰って、ファンになって頂く事が重要になる。

今回のイベントは、今、時流に乗り大きく事業を伸ばしている同社のイベントに相応しい内容になっていたと思う。

事実として、1日目のファンミーティングで一緒になった5名の内3名が既存のユーザでは無かったが、参加しての感想を聞いてみると、非常に好感触で2名は是非“Kintoneを使いたい”との話であった。

展示会や事例発表、KintoneHive、ハッカソン等を聴講していると、ユーザ企業は勿論の事、パートナー企業にもファンが広がり、大きなエコシステムが構築されている事も確認できた。 また、この多くのファンにより、自発的に組織化されたKintoneCafeの開催や、DeveloperNetWorkでのエバンジェリストをはじめとした有識者による開発者支援等々、大きなコミュニティが構築されている。

このコミュニティが機能している事も、サイボウズ社にとっても大きな財産になっており、今回のような参加者への感謝が表れているイベントになっているものと思われる。楽しくもあり勉強になった2日間であり、次回も参加したいと思ったイベントだった。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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