ASP・SaaSナビTOP > コラム > 「JAIPA Cloud Conference 2017」

「JAIPA Cloud Conference 2017」

【クラウド見て聞きある記(その180)】
平成29年7月19日に、品川のコクヨホールで開催された、一般社団法人日本インターネットプロパイダー協会(JAIPA)クラウド部会主催の「JAIPA Cloud Conference 2017」に参加した。

20170719_094551163.jpg

当カンファレンスは、クラウド関連のイベントだが、主催が「インターネットプロバイダー協会」であり、サービスを提供する側からの意外な切り口でのセッションがあるので、昨年は都合により参加できなかったが、今回は楽しみにして参加した。

同業者が集まり情報を共有し、ビジネス上は切磋琢磨する事により、一丸となってインターネットビジネスを盛り上げて行く事が重要であり、その格好の場としての意味を持っている。

同様の活動を行っている団体も幾つがあるが、もう一つの特徴として、運営も若手中心で行われており、若手の企業を超えての交流の場としても活用されている。

今回は、総務省や経産省からの話、アジアや中国でのビジネス状況、人工知能の現状・限界、リオ五輪を振り返り東京オリンピックに向けたセキュリティ対策、働き方改革等、多彩な内容になっており、また、講師陣も魅力的な方が多く楽しみな企画になっていた。

併せて協賛企業からの展示会も行われた。かなり、際どい話もあったが、その部分はSNSやブログ等への掲載は禁止との事で、避けて概略内容について報告する。

Ⅰ.セミナーについて
セミナーについては、家本クラウド部会副会長の挨拶に続いて、午前中に3セッションが行われ、ランチセッションと午後には4つのセッションが、最後にパネルディスカッションが行われた。中々興味ある内容で、その概略について報告する。

1.セッション1
“データ主導社会の実現に向けて”と題し、総務省 政策統括官(情報セキュリティ担当)(前 総務省 情報通信国際戦略局長) 谷脇 康彦氏から講演があった。

2017年1月に策定された「IoT総合戦略」の内容を主として説明があった。IoTやオープンデータ、知のデジタル化、パーソナルデータ等により、データ主導型社会が出現する事、出現する事により必要となる技術や世の中の変化等について、かなり詳細に渡り作成されており、作成された背景や、その中身について概略の説明が行われた。

データ利活用型ソサエティ、情報取引市場(情報銀行)、IoTおもてなしクラウド基盤、ブロックチェーン技術の活用の可能性、IoT人材の育成、マイナンバーカードのり利作用の方向、電子委任状について、AIの活用について、サイバーセキュリティ対策について、等が主な内容。かなり盛沢山の内容でビジネスチャンスも!

2.セッション2
“日本を取巻くサイバー攻撃の状況と経産省の取り組み”と題し、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官 伊東 寛氏から講演があった。

日本を取り巻く世界の状況として、2007年から2016年までに起こった、サイバー攻撃による発生したインシデントについて、発生した背景、攻撃者の目的とその変化、攻撃者の手口、攻撃を受けた企業の3つの安心(狙われるはずがない、外とつながっていない、個別独自のシステムなので強い)の思い込み、最近の特徴等についての説明があった。

その後、これらの攻撃に対し、経済産業省の取り組みについて、平成27年12月に作成された「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」及びその改訂版や追補版を中心に解説、及び平成29年4月に設立された「産業サイバーセキュリテイセンター」等についての、話があった。

3.セッション3
“アジアのインターネットビジネス最前線 中国のクラウドと最新ビジネス現地レポート”と題し、日本インターネットプロバイダー協会クラウド部会 副部会長 株式会社クララオンライン代表取締役社長 家本 賢太郎氏から講演があった。

中国でのインタ―ネットの最新事情を中心に話があった。内容は、中国での現状の報告、Appleやアリババの動き、急速に普及してきている自転車シェアリング、中国でのビジネス(サービス)の特徴、等についての説明があった。

その後、中国でのクラウドデータセンターに関する現状の報告があった。クラウドサービスを考えた場合、伝統を無視して新しい事(イノベーション?)に挑戦する環境があり、大きく変化している事が解ったが、一部で報道されている裏の事情を考慮すると少し変わった見方もあると思う!

4.セッション4
“Dell Technologiesが考えるインフラの未来 〜差別化を促進する新たなテクノロジーの活用~“と題し、EMCジャパン株式会社 システムズ エンジニアリング統括本部 サービスプロバイダSE部 部長  雨堤 政昭氏から講演があった。

新しく設立されたDELL Technologiesの概要、今最も注目しているDigital  Transformation(DX)への取り組み等の説明があり、その後具体的な製品やソリューションの説明があった。

5.セッション5(10分間)
“JAIPAの紹介”と題し、日本インターネットプロバイダー協会クラウド部会 副部会長 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 宮内 正久氏から、JAIPAの活動内容等についての紹介があった。

6.セッション6
“人工知能の現状・限界と社会への影響”と題し、国立情報学研究所総合研究大学院大学教授 山田 誠二氏から講演があった。

AIを取り巻く状況、人工知能とは何か、第三次AIブームは何が違うか(統計的機械学習、ニュ―ラルネットワークの復権、AI実用化ブレークの背景)、機械学習(ML)ベースのAIの得意・不得意、AIで変わる社会、日本の企業に期待されること等についての話があった。

7.セッション7
“リオ2016大会の振り返りと東京2020大会へ向けたサイバーセキュリティの取組み”と題し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会テクノロジーサービス局局長 舘 剛司氏から講演があった。

リオ2016年大会の振り返り、スポーツテクノロジーの動向予測、オリンピックの情報システム、大会で想定されるサイバーセキュリティ、オリンピックでは何を守るべきか、等についての話があった。

8.セッション8
“実は本番はこれからのIT社会〜マーケットとして成熟などしていない~”と題し、三井住友トラスト基礎研究所主席研究員 伊藤 洋一氏から講演があった。

IT・クラウド社会とマクロ経済と称して、アマゾン関連で出てきた新語と持つ意味、物価上昇目標未達とそれを巡る議論、雇用情勢にも大きな変化が等についての話があった。

また、テクノロジーとそれが社会に与える影響と追いきれない政治、その枠組みの変化等についての説明があった。

9.セッション9
“働き方改革の考え方と進め方”と題し、サイボウズ株式会社代表取締役社長 青野 慶久氏から講演があった。

「働き方の改革」について、今、最も注目されている企業の一つになったサイボウズ社の、具体的な取り組みについての紹介があった。

働き方改革に取り組んだ契機、基本的な考えとして“100人いれば100通りの人事制度があって良い”、結果として働き方の選択が9通りになった事、在宅勤務の考え方、副業OKと副業家の登場、働き方の多様化に必要なもの、企業風土改革への取り組み等について、かなり踏み込んだ説明があった。

10.セッション10
“2020年の日本を元気にする経営者パネルディスカッション 日本のトップを走るIT企業経営者達は2020年を目前に何を思うのか?“と題し、モデレータとして、三井住友トラスト基礎研究所研究主幹 伊藤洋一氏  パネリストとして、サイボウズ株式会社代表取締役社長 青野慶久氏 株式会社DGホールディングス(旧DMMホールディングス)代表取締役社長 松栄立也氏 GMOクラウド株式会社代表取締役社長 青山満氏 さくらインターネット株式会社代表取締役社長 田中邦裕氏 株式会社IDCフロンティア代表取締役社長 志立正嗣氏が参加し、パネルディスカッションが行われた。
内容については、性質上省略。

Ⅱ.全体的な感想
従来、かなり際どい話があった“ライトニングトーク”が無かったため、少し物足りなさはあったものの、内容的には多様なクラウド関連や、それにまつわる色々な話が聞けて、満足な1日だった。

クラウドサービス業界についても、AWSという巨人に対し、マイクロソフトやグーグルが勢いを増してきており、それに最近はオラクルも参戦し、かなり競争も激しくなってきて消耗戦の様相を呈してきている。

この激化する業界の中で、プロバイダーとして生き残っていく為には、特徴を持ったサービスを提供する必要があるが、今回のイベントを通じて、色々な工夫をしている事が解り、今後とも是非頑張って欲しいと思うし、これだけのバイタリティを持った企業であれば大丈夫だと思う。

また、日本の特徴である“おもてなし”文化を生かし、日本特有のサービスを生み出し、世界に打って出て欲しいし、今回イベントで講演を行われたサイボウズ社の青野社長も、Kintoneで挑戦されており、その芽は出ていると思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

アクセスランキング 総合


業種別メニュー

サービス別メニュー


このページのTOPへ