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「SORACOM Conference 2017 Discovery」

【クラウド見て聞きある記(その179)】
平成29年7月5日に、溜池のANAインターコンチネンタルホテル東京で開催された、株式会社ソラコム主催の“「SORACOM Conference 2017 Discovery」”が、「~IoTの最先端を探しに~」をテーマに行われ、終日参加した。

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株式会社ソラコムのカンファレンスは、昨年の7月に続き3回目になるが、登録者も倍々に増え、初回の大崎ブライトコアに比べて(2回目はベルサール新宿グランド)、会場も格段に大きくなり、設立3年目の会社が実施するイベントとしては、信じられない規模になっていた。

展示会も、参加パートナー企業も増えて、見ごたえのある内容になっており、セミナー数も増加していたが、一部のセミナー会場では立ち見が出る等、主催者から見て嬉しい悲鳴の連続だったのではないか、と思う。

昨年のイベントで、SORACOM製品の採用企業(団体)数は、3,000を超えたとの発表があったが、最近では、既に7,000を超えているとの事であり、信じられない程の増加だと思う。

また、海外への進出について昨年のイベントで発表があったが、米国やヨーロッパ、アジア地域等へ順調に拡大しており、利用者数の増加も今後加速して行くもの思われる。

IoT関連については、一昨年の9月にSORACOM社の製品(SORACOM Air)が出るまでは、言葉が先行しPOCを実施するにも、通信手段やアプリとの連携、セキュリティ等を考えた場合、それなりの仕組みが必要となり、敷居が高かった。

これらを、すべて解決出来る製品/ソリューションとして“SORACOM Air”が出てきた事から、気軽にPOCに取り組むことが出来、一気に採用が広がってきた。

また、昨年のイベントでLPWA(LoRa-WAN)への出資の話があったが、LPWAについても、急速な普及を遂げており、5月のIoT関連のイベントでは、多くのベンダーから、関連の製品やサービスの展示が行われ、実証・事例も多数出ている事から、今後、ひとつの柱として育つ事は間違いないと思う。

参加の楽しみの一つとして、毎回新機能の発表があり、その命名がアルファベットのA(A ir~)から始まり、昨年の発表では“H(Harvest)”までが使われており、今回も継承していれば、“I”から始まる新機能が発表される事になると思う。

上述のように、大きな躍進を遂げている株式会社ソラコムの現状や、事例、これからの戦略 等を知る為に、カンファレンスに参加した。

カンファレンスは、午前中に基調講演が、午後には製品説明や事例紹介等が、6トラックで各々4セッション(計24セッション:昨年17セッション)が行われ、併せて協賛企業31社(昨年28社)が参加しての展示会、夜にはナイトイベントが行われた。午前中の基調講演と、午後の4セッションに参加したので、その概要を報告する。

Ⅰ.基調講演
基調講演は2部に分かれており、最初にソラコム社から玉川社長と担当役員2名で行われ(サプライズゲストもあり)、次にユーザ企業及び協業企業からゲストスピーカーを迎えて行われた。ソラコム社の基調講演を中心に、概要を報告する。

1.基調講演1
“Discovery ~IoTの最先端を探しに~”をテーマに、株式会社ソラコム 代表取締役社長 玉川 憲氏から、2名の担当役員とサプライズゲストを迎えて講演が行われた。玉川社長からは、最初にソラコム社の現状の報告があった。

製品の採用企業が7,000社を超えた事や、申請パートナーが350社を超え、SPSパートナーが70社超え、認定デバイスも80種以上、グローバル展開も120ヶ国で可能になった事等の数値に関する話があった。これらの数値はリリース後2年で達成したものであり驚くべき値だと思う。

次に、2015年5月以降の事例として、大阪ガスやIHI等12社の紹介があったが、意外と大企業が多かったことや、適用範囲が非常に広い領域で使われていた。また、これだけ拡大した要因として費用面の話しがあり、AWSのモデルを参考に、引き続き引き下げる決意表明も行なわれた。

新製品の発表については今年も行われ、2機能の追加があり、命名については予想通りアルファベットの連続も継承、“Inventory”と“Junction”で、何れもIoTのエコシステムとして課題解決につながるもの。

LPWAへの取り組みについては、昨年LoraWANへの参入を発表したが、今年は、サプライズゲストを招き驚きの発表が!

ゲストスピーカーとして、京セラコミュニケーションシステム株式会社の黒瀬社長が登場し、ライバル関係にあるSigFoxをソラコム社がパートナーとして扱う事を発表した。既に、幾つかの会社で評価を開始しており良好な結果だそうだ。ライバルとは言っても、両方に特長があり、懸命な選択だと思うし、ユーザから見ても選択肢が広がる事になる。

新製品の発表に当たっては、株式会社ソラコム 最高技術責任者 安川 健太氏と、執行役員 プリンシパルソフトウェアエンジニア 片山 暁氏から、その機能が必要となった背景や、サービスの内容等についての説明があった。

2.基調講演2
基調講演2については、3名のゲストを招いてパネルディスカッションが行われた。

モデレーターは昨年に続いて、フリーアナウンサーの膳場 貴子さんが務め、玉川社長及び株式会社ソラコム 最高技術責任者 安川 健太が参加して行われた。

ゲストスピーカーは、パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務 江坂 忠晴氏、株式会社みずほフィナンシャルグループ 常務執行役員 デジタルイノベーション担当役員 山田 大介氏、株式会社ローソン 理事執行役員 マーケティング本部 本部長代行 兼 商品本部副本部長 野辺 一也氏が参加。

各社より現状のIoT関連への取り組み等の紹介後、技術の変化に伴い起こるマイナス面(リスク)は、SORACOMによる変化及びパートナーとしてSORACOMのメリットは、イノベーションに対応する為の人材育成は、IoTで社会課題にどう立ち向かうか、等についてパネルディスカッションが行われた。詳細に関しては省略。

Ⅱ.ブレークアウトセッション
午後からのブレークアウトセッションは、6トラックで各々4セッションが行われ、ソラコム社およびパートナー企業、ユーザ企業から、事例やソリューション/サービス等についての紹介があった。4セッションを聴講したので概略の内容について報告する。

1.セッション1
“モバイルでIoTを手軽に始めよう! 事例とデモでお伝えする超高速開発ツール「Platio」の魅力“と題し、インフォテリア株式会社 Platio事業部長 松村 宗和氏からゲストスピーカーとして、明和地所株式会社 Chief Innovation Officer/経営企画本部 新規事業部部長 茨木 敏氏を迎えて講演があった。

松村氏からIoTシステムを実現する為の構成要素、IoT導入を成功に導くPlatio活用の魅力等についての話があり、続いて茨木氏から同社における導入の事例についての説明があった。

2.セッション2
“LoRaWAN最新動向”と題し、株式会社ソラコム 事業開発マネージャー 大槻 健氏から、ゲストスピーカーとしてスカパーJSAT株式会社 衛星技術本部 サービス技術部 部長代行 内山 浩氏を迎えて講演があった。

大槻氏から、LoRaWANとは及びスペック、2つのサービスモデル等についての説明があったのち、内山氏からスカパーJSAT株式会社での活用事例についての説明が行われた。

3.セッション3
“LoRAWANとARM mbedを活用した地方創生〜長野県伊那市での取り組み〜”と題し、株式会社ウフル IoTイノベーションセンター兼デバイスプラットフォーム開発部 部長 竹之下 航洋氏から講演があった。

株式会社ウフルが地方創生に取り組む理由、農家の課題をRoRaWANで解決、第一回伊那市でのLoRaWANを使ったハッカソンの内容、LaRaWANとSigFoxの違い、今後のビジネスの方向性等についての話があった。

4.セッション4
“IoT、クラウド、CIOは技術にどう向き合うか”と題し、ゲストスピーカー に株式会社東急ハンズ 執行役員 オムニチャネル推進部長 長谷川 秀樹氏、フジテック株式会社 常務執行役員 情報システム部長 友岡 賢二氏、モデレーターとして、Still Day One合同会社 代表社員 小島 英揮氏でパネディスカッションが行われた。

いずれもIT業界を代表する論客であり、楽しみにしていたセッションの一つだった。かなり際どい話があったが、パネルなので内容については省略。

Ⅲ.展示会
主催者及び前回より大幅に増えて31社に上る協賛企業各社が参加して、展示会が行われた。

主催者からは、「はじめてのSORACOM体験コーナー」をはじめとして、SORACOMの仕組みや機能に加えて、連携ソリューションや認定デバイス等に関する展示等が行われていた。

協賛企業からは、SORACOMを活用した製品や、ソリューション/サービスの展示が行われていたが、昨年に比べて製品やソリューションの幅が、かなり拡大しているように感じた。

また、多くの実績に裏うちされ、直ぐに活用可能なものが多く見られ、IoTでのSORACOM製品の広がりを見る事が出来た。

もう一つの特徴としては、従来スタートアップ企業の展示が多かったが、今回は大手のSIerやクラウドベンダーの展示も多く、営業の広がりや、技術面での対応人材も結果として大幅に増加しており、SORACOM製品の急速な拡大に寄与しているのではないかと思う。

Ⅳ..全体的な感想
今回のカンフアレンスは、最初の製品発表後2年弱(2015年9月発表)にも関わらず、ユーザ/ベンダー企業等での7,000社を超える採用に加えて、AWSビジネスの成功パターンを取り入れ、積極的な短期間での新機能追加、利益還元での数度にわたる値下げ行う等の動きについての報告があった。

また、30億円の資金調達によるグローバル展開等、昨年のイベントで発表があったが、その結果の報告があり、順調に進展している事が確認できたイベントだった。

当初から、その製品の機能の優位性や斬新性から考えて、ある程度の実績や盛り上がりを予想していたが、引き続き完全にその予想を超えるスピードで進んでいく事は間違いないように思えた。

展示や事例を見ていると、質と幅に関して大きく進展しており、色々なアイディアの実現や、事例からのノウハウの蓄積等があり、多くの新しい領域への応用、更なる新しい製品等が出て来て、一気にIoT市場が盛り上がりを見せるものと、大いに期待したいし、出来ると確信した。

ただ、前回の報告にも書いたが(杞憂とは思うが)心配なのは急速に製品やサービスの数、サービスの地域が拡大をしており、“質”の確保が出来るかが問われるようになると思うし、打つ手に期待をしたい。

非常にエキサイティングで有用な1日を過ごすことが出来た。次回も、一回り大きなイベントになると思うが、是非参加したいし参加の価値は十分にあると思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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