ASP・SaaSナビTOP > コラム > 「Salesforce Trailhead Live Tokyo」

「Salesforce Trailhead Live Tokyo」

【クラウド見て聞きある記(その178)】
平成29年7月4日に、東京ミッドタウンホール/ザ・リッツカールトン東京で開催された、株式会社セールスフォース・ドットコム主催の、主として人材育成をテーマにしたイベント「Salesforce Trailhead Live Tokyo」に参加した。

DSC_2428%20%28003%29.JPG

TrailheadはSalesforce社が無償提供する、先駆者となり企業のIT化を推進するTrailblazer(トレイルブレイザー)を育成する為のトレーニングコースの事で、Trailblazer及び挑戦する人たちが集まり、最新の情報や事例等の把握、ネットワーキングによる交流の為に開催されたものだ。

クラウドに関しては、当初より「誰でもが・直ぐに・使いたい時に使える」を売り文句にして活用の拡大を図ってきて、ユーザ部門が直接に個別のサービスを導入する事を想定していた。事実NISTが定義しているクラウドの5条件を見てもこれを色濃く表している。

しかしながら、ベンダーからの提供サービス機能が拡大し、エンタープライズレベルシステムへの適用拡大、データの一元管理、ハイブリッド型を前提とした全体の運用管理の必要性等が出て、システムインテグレーション機能が必須となり、専用要員の育成が必要となってきている。

AWSやGoogle、マイクロソフト等のイベントに参加しても、同様の展示や事例紹介が非常に増加している。

この為、クラウドの活用拡大の為には、先駆者となりIT化を推進する人材の育成が必須になるが、製品やサービス/ソリューションの知識に加えて、様々な導入のノウハウ等が必要になってくる。

これらを個別の企業で解決しようとしても、難しくある程度製品やサービス/ソリューションを提供する仕組みが必要になり、併せてエコシステムとしての整備も必要となる。

これらの状況を見越して、セールスフォース・ドットコム社は、早くから人材育成環境の整備や、エコシステムの構築(主はAppExchange)やコミュニティを中心としたユーザ/ベンダー支援、戦略的な協業やスタートアップ企業への出資等を行ってきた。

結果として、Trailheadとしてのコースの創出及び参加企業の増加、AppExchangeへの登録数が3,000本超え、ダウンロードの400万回超え、スタートアップ支援企業の成長等に現れている。

今回のイベントは、久し振りに米国からマーク・ベニオフCEOが来日され、直接話を聞くことが出来る事や、現状の把握、具体的な人材育成の事例等の最新の情報を入手する為に参加した。

午前中にはゲストを招いてのマーク・ベニオフChairman &CEOによるKeynoteが行われ、午後からは2トラックで、各々5セッション(10セッション)が行われ、終了後には情報交換の場としてのネットワーキングが、併せて主催者に加えてスポンサー企業13社が参加し展示会(Customer Success EXPO)が行われた。午前中のKeynoteと午後の5セッションと展示会に参加したので、その概略を報告する。

Ⅰ.Keynote
“BLAZE YOUR TRAIL”と題し、米国セールスフォース・ドットコム Chairman & CEO マーク・ベニオフ氏から、ゲストスピーカーを迎えて講演があった。

最初にマーク・ベニオフ氏からセールスフォース社の現状や方針についての説明があった。

2018年の売り上げ予想が103億ドルになり、これはソフトウェア業界では4社目になる事、今後の成長の為には質の向上が重要で今後とも追求してゆく事、1:1:1(ワンワンワン)活動を通じて今後とも会社を上げて社会貢献を推進する事、人材育成も非常に重要と考えておりTrailheadを開発した事等についての話があった。

次に世の中の動きとして“第四次産業革命”が進んでおり、これへの対応についての説明もあった。

今はIoTとAIが主役の時代を迎えておりそれを見越して「Customer Success Platform」を提供、毎日280万件の商談の発生や14億件のメール処理及び50億件トランザクション等の処理を、Salesforce Platform上で行っており、既に「Salesforce Economy」が出来ている事、このEconomyにより2020年までにGDPに3,980億ドルの影響を与える事、変革に必要な5つの要素(品質、スピード、生産性向上、モバイル化、繫がり)が存在する事、Amazonとの連携でAWS上にSalesforceを組み込むことが出来るようになった事等の話しが、途中にデモを挟みながらあった。

ゲストスピーカーとして、RIZAPグループ株式会社 代表取締役社長 瀬戸 健氏から、この度、同社のCRMのプラットフォームとして、Salesforceを採用し、Service CloudやEinstein(AI)等を活用することが発表された。

最後に、株式会社セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 社長 小出 伸一氏が登壇し、今回のイベントの内容や、エントリー状況(すべてが満席)、展示会の紹介等があった。

また、毎年12月に実施していたWorld Tourを今年は9月26日~27日に行う事が発表された(変更の原因は説明なし)

Ⅱ.ブレークアウトセッション

午後からは、2会場(東京ミッドタウンとザ・リッツカールトン東京)に分かれて、各々5セッションが行われた。 ミッドタウン会場の5セッションを聴講したので概略を報告する。

1.セッション1
“急成長 SaaS スタートアップの経営”と題し、セールスフォース社のベンチャーキャピタルを利用した、スタートアップ企業3社が登壇しパネルデッイスカッション方式で、起業内容や苦労話等についての話しが行われた。

各社から現状の報告や提供している製品及びサービス、立ち上げ時の苦労話、業界で課題となっている人材の確保、スタートアップ企業の運営のコツ等についての話があった。

2.セッション2
“Salesforce Commerce Cloud + Einstein AIで実現するユニファイドコマース ~成功するコマースプラットフォームに向けて“と題し、株式会社セールスフォース・ドットコム コマースクラウド リードソリューションエンジニア 平部 優樹氏から講演があった。

ユニファイドコマースの意味、環境と消費者が引き起こした変化、Adidas社の成功事例、「Salesforce Commerce Cloud + Einstein」の価値及び実現できる事等についての話があった。

3.セッション3
“IT部門主導でビジネスをアジャイルに変革!Salesforce Platform最前線”と題し、ガートナー ジャパン株式会社 ガートナー・リサーチ リサーチ ディレクター飯島 公彦氏をゲストに迎えて、株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 伊藤 哲志氏から講演があった。

伊藤氏からテクノロジーに対する現状の説明が有り、その後、飯島氏からガートナーが捉えているPaaSの動向についての話が有り、PaaSの種類やその機能についての説明があった。 また、App Cloud Einsteinの強みや新しい機能(Salesforce DX等)についての説明およびデモがあった。

4.セッション4
“Einstein: 将来のビジネスにAIがもたらすものは?”と題し、日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 理事 浅野 智也氏をゲストに迎えて、株式会社セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代 茂樹氏、米国セールスフォース・ドットコム製品開発部 プロダクト・マネージメント ディレクター ケン・ワカマツ氏から講演があった。

セールスフォースのAIとは及び仕組み、機械学習(ML)の自動化について(AIの自動化)、Salesforce Einsteinについて等の説明があり、その後、戦略的な協業を発表したIBMの浅野氏から協業に関する内容等についての話があった。

5.セッション5
“ユーザがもっと使いたくなる! ~Salesforceフル活用術”と題し、株式会社セールスフォース・ドットコム カスタマーサクセス本部 執行役員 コマーシャルサクセス部長 仲澤 輝宏氏、カスタマーサクセス本部 サクセススペシャリスト 大竹 史雄氏、カスタマーサクセス本部 カスタマーサクセスマネージャー 藤崎 晶子氏から講演があった。

3人から、各々の担当製品に関して、活用術について説明が行われた。Salesforceの導入を成功させるための7つの要素、ユーザの為のアプリケーションとは(UXを中心に)、これらを実現するLightning Experienceを始める為のトレイル等についての説明があった。

Ⅲ.展示会(Customer Success EXPO)
短時間で製品やサービスの紹介を行うSalesforce Theaterや、セールスフォース・ドットコム社からは、製造、流通・小売り、金融サービスの3つのテーマ別のブース、個別サービスや製品別のブースでの展示が行われていた。

これに加えて、13社のスポンサー企業から、(主として)補完製品やサービス/ソリューションの展示が行われていた。

Ⅳ.全体的な感想
久しぶりにマーク・ベニオフChairman&CEOから話を聞いたが、相変わらず聞き易く話の主旨がすんなりと入ってくる。投影される資料が非常にシンプルな事に加えて、自分の言葉で話をされる事、論旨がしっかりしている事、ゲスト等をうまく挟む事等だと思うが、中々真似のできないプレゼンだと思う。

クラウドサービスとして、当初の機能から大きく拡大し、製品やサービス/ソリューションとしての提供形態も多様化(SaaS、API、プラグイン等)、一方、ユーザの使い方も多様化している事から、サービスの利用に加えてシステムの構築、という要素が重要になっている事を確認する事が出来た。

また、セールスフォース・ドットコム社がこの様な状況を見越して、何年も前から手を打ち的確な対応を行っている事が良く理解出来た。

単に“人材育成の重要性”を語るのは簡単であるが、具体的な行動に移すことは、検討すべきことが山積しており、大変だが対応すべき内容が、今回のイベントを通して少しのヒントが掴めた様に思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

アクセスランキング 総合


業種別メニュー

サービス別メニュー


このページのTOPへ