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「超高速開発&エンタープライズアジャイル~ビジネス変化を支えるシステム開発高速化の処方箋~」

【クラウド見て聞きある記(その173)】
平成29年10月25日の午後に、大崎駅近くの大崎ブライトコアホールで開催された、日経コンピュータ主催、日経SYSTEMS協力、アシスト、マジックソフトウェア・ジャパン、リックソフト、SCSKの各社協賛で行われた、超高速開発を実現するツールや手法の最新動向を解説するセミナー『超高速開発&エンタープライズアジャイル~ビジネス変化を支えるシステム開発高速化の処方箋~』に参加した。

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最近、超高速開発という言葉は定着しつつあるが、その解釈には大きな幅があり、かなり誤解もあるようだ。

その一番の誤解は“超高速開発”の決まった手法やツールがある、というものだと思う。

いくら凄いツールや手法を採用したとしても、仕様が確定出来なければ短期間(超高速)での開発は難しく、多くの失敗事例が存在する。超高速開発とは目的であり、そのやり方は様々なものがあり、結果として短期間での開発が可能となる事だと思う。

一方、エンタープライズアジャイルに関しても、その解釈については、色々なものがあり、 その代表的なものが、アジャイル開発手法をエンタープライズシステム(基幹システム)に 適用する事、だと思う。

また、ウォータフォールとの対峙するもののように捉えている人が多い。しかしながら、この言葉を最初に使った(?)と思われる日経コンピュータでの定義は、ウォータフォール型開発とアジャイル型開発の良い部分を取ったもの、つまり上流工程の要件定義まではウォータフォール型で確定を行い、確定後はアジャイル手法をもって開発を行う等、ハイブリッド型を想定しているように書いてある。

とすれば、超高速開発の中にエンタープライズアジャイルは含まれ、と考えることが自然だと思う。

また、超高速開発が目的だとすると、その手法は開発対象のシステムの性質によって、適正な手法をとれば良いことになる。

基幹システムのように他システムとの連携、社外との取引があるもの、組織への影響があるもの等があり、複雑な検討・調整が必要になる事から、JBCCのアジャイル開発手法のように、要件定義まではウォータフォール型で、以後の設計・製造等はアジャイル型を採用し、全体の開発手法を確立しており、大きな成果を上げている。

また、他システムとの絡みも少なく、その場で仕様の決定ができるものについては、アジャイル型の開発を行えば良いと思う。

つまり、システム開発を行う手段については、開発するシステムに応じて決定すれば良く、ウォータフォール型は“悪”でアジャイル型が“正”との考え方は改める必要が有ると思うし、大手のSIerの中には、(改定版)ウォータフォール型を、改めて標準に組み込むところも現れている。(JBCCもこの一つだと思う)

もう一つの論点として、その場で仕様の固めが必要となる事から、一般的にアジャイル型での開発には、高スキルが必要と言われているが、通常のシステム部門が抱え開発要員の構成は、一般的にスキル構成として、2(高スキル):6(普通スキル):2(低スキル)の法則があり、小生の経験としてかなりの教育や標準化・ツールの採用等を行っても、3:5:2が精一杯であり、アジャイル型への移行を躊躇させる一因になっている。

これらの状況を確認し、製品等の最新の情報を仕入れるために参加した。セミナーは2つの事例講演(基調講演と特別講演)に加えて、協賛企業による4つのソリューション講演が行われた。その概略について報告する。

Ⅰ.基調講演及び特別講演
基調講演と特別講演としてユーザ企業2社から講演があった。概略について報告する。

1.基調講演
“アジャイルからDevOpsへの遷移”と題し、KDDI株式会社 プラットフォーム開発本部 アジャイル開発センター アジャイル開発1グループ マネージャー 川上 誠司 氏から講演があった。

自社で取り組んでいるDevOPSについて、事例を中心に話があった。DevOPSの定義が不確定で独自に定義を行っている事、DEvOPSの本質、何故DevOPSなのか、KDDIの組織、KDDIが取り組んでいる事、蓄積できたノウハウや成功のポイント等についての説明があった。

その中で、“全体のプロセス期間を短くするのがDevOPS“との話があったが、これがDevOPSの本質をついているのではないか、と思った。

2.特別講演
“SBI生命保険における超高速開発の取り組み”と題し、SBI生命保険株式会社 執行役員COO 兼 IT部長 池山 徹氏から講演があった。

2016年2月から合併後に営業を開始する為のシステムを、7ヶ月という短期間で超高速開発を活用し、開発した事例についての話があった。

システム開発の経緯と背景、活用した技術、全体スケジュール、超高速開発のポイント(前提、必要スキル、アプロート等)、プロジェクト運用にあたり気を付けた事等についての話があった。

業務のやり方等を決定しながら、システムの要件を決める必要があり、アジャイル型の開発でしか実現できなかった事例で、参考になる内容だった。

Ⅱ.協賛会社講演
協賛会社4社から、製品やソリューション、および事例に関する講演があった。概略について報告する。

1.協賛企業講演1(提供:マジックソフトウェア・ジャパン)
“基幹業務システムを再構築、ERPパッケージ、スクラッチではなく、なぜ超高速開発ツールを選択したのか?”と題して、アイカテック建材株式会社 管理部 情報システムグループ長 兵頭 宣彦氏から講演があった。

システム再構築が必要となった背景や課題、なぜ超高速開発型ツールを選択したのか、システム開発の経緯、新システムの内容等についての説明があった。

2.協賛企業講演2
“DelphixによるDevOps/アジャイルへの新アプローチ!”と題し、株式会社アシスト データベース技術本部 ビジネス推進部 部長 岸和田 隆氏から講演があった。

Delphixを使用する背景や目的、開発・テスト段階から本番データを利用するメリット、Delphixの機能及び実現できる事、活用事例等についての話があった。

3.協賛企業講演3
“超高速開発スタイルで「夢ある未来を、共に創る」”と題し、SCSK株式会社執行役員 AMO 第一事業本部長 古宮 浩行氏から講演があった。

ITに対する利用者の不満、不良IT資産、SIの不幸な現実、ITでビジネスに貢献する為の“Fast APP“について(プログラミングレス、コンホポーザブルな開発)、SCSKならではの超高速開発スタイル(ウォータフォール型の開発標準)、実績と今後のロードマップ等についての話があった。

ハイブリッド型の典型的な開発スタイルで、非常に参考になる内容だと思う。

4.協賛企業講演4
“速い!安い!巧い!超高速開発を支えるテストツール連携”と題し、リックソフト株式会社 ソリューション推進部 部長 大塚 和彦氏から講演があった。

超高速開発を実現する為に複数のツールを組み合わせて、各種のテスト支援ソリューションを提供している同社が、使っているツ―ルや、サービス内容についての説明があった。

Ⅲ.全体的な感想
超高速開発関連のセミナーには、かなりの数参加しているが、定義がはっきりしない分内容が発散してしまうケースが散見される。今回は、本音ベースの話しが多く、興味深く聞くことが出来た。

KDDI株式会社のDevOPS関連の話しや、SCSK株式会社の「ウォータフォール型の開発標準」については、綺麗ごとだけではなく、現実を見据えた姿だと思う。

ともすると、ウォータフォール型開発は“古い”とか“悪”と言われており、命名には勇気がいったと思うが、現実を考えると妥当だと思う。

勿論、従来のウォータフォール型ではなく、ハイブリッド型で武装された(コンポーポーザブルな開発開発等)新型ウォータフォール型だ!これは、活用しているツールは違うもののJBCCのアジャイル開発によく似ている。

何れにしても、超高速開発の目的は、経営のスピードに合わせて、スピーディに望まれる機能の提供を行う事であり、開発手法や方法論に拘らず、自社の状況に合わせた超高速な開発手法を採用することが重要だと思う。

実現する為には、一つのツールや方法論に拘らず、開発するシステムの性質や要件等を考慮し、最適なものを組み合わせるハイブリッド型の選択肢も検討に値すると思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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