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「Japan IT Week 春 2017」

【クラウド見て聞きある記(その172)】
平成29年5月10日~12日に東京ビッグサイトで開催された、リードエグジビションジャパン株式会社主催の「Japan IT Week 春 2017」に参加した。

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東京ビッグサイトの東棟と西棟及び会議棟を使い、数多くの基調講演や有識者による講演、出展社による製品・技術セミナー、13に及ぶ展示会が同時に開催され、IT関連では最大規模の展示会になっており、今回は10日終日と12日AMの2日間にわたり参加した。

展示会は、東棟では「第8回クラウドコンピューティングEXPO春」、「第26回ソフトウェア&アプリ開発展」、「第14回情報セキュリティEXPO春」、「第19回データストレージEXPO」、「第9回データセンター展春」、「第22回ビッグデータ活用展春」、「第11回Web&デジタルマーケティングEXPO春」、「第5回通販ソリューション展春」、「第7回モバイル活用展春」、「第3回モバイル端末・周辺機器展」、「第1回店舗ITソリューション展」が行われ、西棟では「第20回組み込みシステム開発技術展」、「第6回IoT/M2M展春」が行われた。

今回から環境の変化に合わせて、店舗ITソリューション展が追加され、幾つかの展示会の名称が、現状に合わせて変更が行われ、市場の変化や活性化及び拡大に合わせた形になっていた。

企業では、ITの活用を前提としたデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みや、モバイル端末の導入、AI/人工知能への取り組み、ワークスタイル変革への取り組み等があり、それらに対応したテクノロジーの進化や、併せて、製品やソリューション/サービスも多様化してきている。

Japan IT Weekにも毎回参加しているが、今年は企業がIT活用を経営課題と捉えている事から、ユーザ部門からの参加者も多くなり、熱心に質問する姿やメモを取る人を多く見ることが出来た。

今回は、10日に東棟のクラウドコンピューティング、情報セキュリティ、データストレ ージ、ビッグデータ活用、ソフトウェア&アプリ開発を中心に見て回り、12日には西棟の IoT/M2M展を中心に見て回った。

内容も多岐に渡り、範囲も広い事から目についたものの概略のみを報告する。

Ⅰ.展示会全般にについて
今回は、クラウドの基幹業務への活用拡大や、IoTやビッグデータ/分析等への取り組みの本格化等もあり、クラウド関連に加えて、情報セキュリティやIoT/M2M展は、展示企業やブースの大幅な拡大もあり、人の流れも特に多かったように思う。

12日に行ったIoT/M2M展は、一部のブースでは入るのも困難な状況もあり、関心の高さを表しているように感じた。

Ⅱ.ジャンル別の概要
1.クラウドサービス
クラウドサービスについては、IaaS領域の競争からPaaS領域の競争に移ってきているように感じた。

また、各種のサービス(コンテナ技術等)の出現により、両者の境目が曖昧になりつつあるように思われ、具体的な展示を行っているベンダーもあった。その中で、目立った動きを上げると

①AWSの1強から、マイクロソフトのAzureの追い上げが急速で、ユーザ企業での採用に加えて、クラウドサービスのプラットフォームとして採用しているベンダーが多くなった。

②クラウドベンダーの対応も大きく分けると3種類に分かれて来ており、力の入れ方がハッキリとしてきた。 撤退も多く出ている。

 ・AWSが圧倒的な力をもっているが、総合力により敢然と挑戦のグループ
 ・正面よりの競争を避け企業努力により安価なサービスに絞り提供を行うグループ
 ・特殊なサービス(主として業務特化)に絞り提供を行うグルーブ

また、従来はサービスの種類や内容に大きな差があったが、段々と差がなくなってきており、価格競争が激しくなってきている。

③IaaS領域に関しては、OpenStackへの対応は当たり前の事として採用しているベンダー多かった。また、コンテナ技術についても同じで、Dokerの採用が進んでいる。

④PaaS領域については、CloudFoundryベースでのサービスの提供が拡大してきており、ディファクトスタンダード化しつつある。

⑤運用・保守に関しては、ハイブリッド環境下での機能やサービスを、殆どのツールが採用しており、OSSを含めて選択することが出来るようになっている。

⑥オンプレや他クラウドからの移行に関して、多くの事例が出ており、ノウハウとして蓄積してきており、数多くのサービスが出ている。

また、移行の必要がなくオンプレとクラウドや、クラウド間を自由に移動できるサービスも出てきている。

⑦アブリでは、クラウドネイティブ環境で開発されたサービスが増えて、真のクラウドのメリットを享受できるものが多くなってきている。

⑧月額課金(サブスクリプション)については、マイクロソフト社が大きく舵を切ってから流れが変わっており、幾つかのサービスの展示が行われていた。今後の動きには要注意なサービスだと思う。

2.IoT/M2Mについて
IoT/M2Mに関しては、今最も旬な話題であり、参加者も多く歩くのにも苦労する通路やブースがあった。

その中で注目すべき動き次の通り。

①LPWA対応の展示が多くなった事に加えて、100kmを超える長距離の通信が可能な製品の展示も行われており、IoT関連の強力な武器になる。

②プラットフォームについては、依然として乱立気味である事に加えて、プラットフォームと呼べるのか、疑問になるものも多々あった。 ただ、プラットフォームの必要性については、共通認識に成ってきている。

③POC段階を経て本稼働につなげる導入手順は確立しているが、製品やサービス等の組み合わせも非常に多くなり、知識(ノウハウ)の集約が必要となる為、本格的な普及の妨げになっていた。これらを“相談窓口”としてビジネス化する動きが出てきて、具体的なサービスの展示も行われていた。(GMOの“IoTの窓口”)

3.ビッグデータ活用展
ビッグデータの活用に関しては、ビッグデータとしての管理手法(DB含む)の確立、AIや機械学習/ディープ・ラーニング等の技術の普及、IBM WatsonやGoogle、FaceBook等の環境の解放等により、急速に普及してきており、あらゆる分野での応用が始まっている。

活用におけるPDCAサイクルも確立しており、多くのベンダーからテンプレートの提供、導入支援サービス等もあり、導入のハードルが下がってきているように感じた。

4.情報セキュリティ
IoTでのセンサーや各種デバイスの接続、標的型攻撃やランサムウェア等のサイバー攻撃の拡大等が有り、セキュリティに関しては経営課題と考える企業が増加している。

一方、ベンダーによる対応製品やサービス増加等により、昨年に比べて出展社数やブースの大きさも拡大し、人通りも非常に多く活気のある展示会になっていた。

主な動きは以下の通り。

①標的型攻撃に関しては、多層防御による対策が根付いてきており、多くのベンダーからの展示が行われていた。また、AIやインテリジェンスの活用により、対応品質の向上を挙げているベンダーも多く見られ、振る舞い検知やパターン検知等の高度化がブームとなっている。

②ランサムウェア対応については、急速に増加している為、対応製品が多く展示されていたが、対策としてどの程度まで有効か等、自社で必要な内容か吟味が必要。

③サイバー攻撃対策は企業の経営課題との認識はある程度定着しており、CSIRT等の設置を検討する企業が多くなっている為、これらの構築サービスを提供するベンダーが大幅に増加していた。

④SMB市場向けの製品については、従来、看板だけで中身が伴っていないケースが多かったが、今年は中身が充実し、検討に値するものが多くなってきた。

5.ソフトウェア&アプリ開発
超高速開発や(エンタープライズ)アジャイル開発は定着してきているが、その解釈や全体的な考え方にについて、大きな齟齬があるように感じた。

①企業のシステムを考えた場合、基幹系のシステムで、生産設備や管理手法により左右されるものや、他システムと連携が必要で、単独では決められないものが、依然として半分以上を占める現状があり、ソフトウェア&アブリ開発を考えると無視できない。

幸いにも、今回もプロセス&データモデル作成の重要性を打ち出している展示もいくつかあったが、もう少し陽を当てるべき分野だと思う。

②一方、イノベーティブなシステムの開発や、他システムとの関連が薄く独立したシステムの開発には、コンポーザブルな開発やアジャイル開発が有効な手法であり、選別して使うべきだと思う。

③DevOPSに関しても、看板に掲げているベンダーが多かったが、その内容はかなりの違いが有り、カバーの範囲や管理項目も大きく違う事から、自社での目的をハッキリとし、選別する必要があると思う。

Ⅲ.全体的な感想
非常に規模の大きい展示会であり、1日目の終日と2日目は4時間ほどで見て回ったが、全体の半分ほどしか見る事が出来なかった。

また、魅力的なセミナーも併設されていたが、時間の都合上聴講できなかったのは非常に残念だった。

今年は、13の展示会が同時に行われていたが、その中で、東棟ではクラウドコンピューティングEXPOと、情報セキュリティEXPOが、西棟ではIoT/M2M展が旬な話題を抱えており、通路を歩くのにも困難な混む状況もあった。

色々な展示を時間が許す限り見て回ったが、クラウドではネイテイブ環境で作成されたサービスの増加やPKGの増加があり、本来のメリットを享受できる方向に向かっているように感じた。

また、セキュリティに関しては、昨年までは圧倒的に攻撃方が優勢で、ベンダー側は防戦一方の感じがしたが、反撃の狼煙を上げるベンダーも出てきたので、今後の動きに注目したい。

少し気になったのは、相変わらず“プロダクトアウト”の考えが抜けず、パネルの作成や説明も機能説明に終始しているブースが多いように感じた。

クラウド時代になり選定の主役は“ユーザ部門”との話は根付いており、なぜベンダーが変わろうとしないのか、不思に思う。

来年は、是非2日間全日行って見ようと考えているし、その価値のある展示会だと思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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