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「超高速開発&エンタープライズアジャイル~利益を生み出すIT部門を目指す」

【クラウド見て聞きある記(その153)】
平成28年10月25日の午後に、大崎駅近くの大崎ブライトコアホールで開催された、日経コンピュータ主催、日経SYSTEMS協力、キヤノンITソリューションズ,インテリジェント・モデル,サピエンス・ジャパン協賛、超高速開発を実現するツールや手法の最新動向を解説するセミナー『超高速開発&エンタープライズアジャイル~利益を生み出すIT部門を目指す』に参加した。

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システム開発については、現在の経営環境の変化に伴いスピード経営や、クラウドやIoT等の出現に伴い新規事業(イノベーション)の立ち上げ等があり、アジリティな開発が必要とされる様になってきている事は理解している。

しかしながら、最近、セミナーを聴講していると非常に気になる話が多い。その原因は、システム開発はウォータフォールが“悪”で、その対策としてアジャイル開発だという話が多く、本来ならば、両立するのにあたかもアジャイル開発のみが“正”という論調で話す人が多い。

小生が現役時代に担当していた製造業や装置業の基幹系システムの構築では、販売管理、生産管理、品質管理、工程管理、原材料管理、物流管理等のサブシステム(人事や経理は除く)が必要となるが、各々のサブシステム間でのやり取りが発生し、また、(取引先や仕入れ・発注先、請求先)等の外部との調整も必要となる。

製造業や装置業では、全てをシステム中心ではなく、設備や工程の管理手法、役割の分担、組織の在り方、原価や管理会計等が決まったのち、システムの検討となるケースが圧倒的に多い。

過去に担当したシステム再構築(上記の全面作り直し)では、600項目以上の調整項目と、うち他部署とのハードな調整が必要な課題が150項目を超えていた。この調整に多くの時間を取られ、要件定義や外部設計に時間を要する事になった。

また、要件定義(または外部設計)が終了段階では、この多くの調整に齟齬が無いかの検証を行うために、設計された画面や(帳票)等を元に、疑似的にオーダを流して整合性がとれるか、“横串し検証(小生が名付けたので一般的では無い?)”を実施していた。

この調整が必要な要因は、現場の仕事のやり方と考え方にある。欧米の場合は決められたことを決められた様にやれば良いが(管理をする人が作る)、日本の場合はQCや改善活動を現場で徹底してやっており、自分たちが作った仕組み、との意識が強くその分拘りもあり、調整は非常に難しくなる。

一般的に(調査会社の基調講演でも言っていたが)、この様な調整が必要でアジャイル方式の適用が困難なシステムが、基幹システムの60%程度を超えており、依然としてウォータフォール型の開発が無くならない要因にもなっている。

一方、ウォータフォール型の開発も進化を遂げており、要件定義や外部設計までを従来のウォータフォール型で行い、それ以降をイテレーション方式で行う方式があり、所謂ハイブリッド型を取り入れるプロジェクトが多くなってきている。

超高速開発はこの考え方に基づく方式も提案しており、JBCCのXupper + GeneXusは正にこれの実践だと思う。

また、2012年頃にエンタープライズアジャイルが注目されたとき、その定義として“ウォータフォールとアジャイルの良いところを取り入れた方式”としており、決して上述の様な“悪”と“正”の構図ではない、と思っている。

これらの状況を確認し、製品等の最新の情報を仕入れるために参加した。

セミナーは2つの事例講演に加えて、協賛企業による3つのソリューション講演が行われた。 その概略について報告する。

Ⅰ.事例講演
事例講演としてユーザ企業2社から講演があった。概略について報告する。

1.事例講演1
“ヤマハ発動機を支える超高速システム開発”と題し、ヤマハ発動機株式会社 プロセス・IT部 デジタル戦略グループ 主務 原子 拓 氏から講演があった。

自社のクラウドへの取り組み状況について、ヤマハ発動機のシステム開発についてYMCフレームワークの内容、代表的なコールセンターについて等の発表があった。

その中で、ITインフラストラクチャ関連の6つのグランドデザインを決めて、極力自社所有型からサービス利用型への転換を進めている。

クラウドサービスを利用するにあたり、体験した結果、①クラウドサービスに合わせること、②クラウド利用を前提とした設計が必要、③最後は“人”等の話がああり参考になった。

2.事例講演2
“金融系IT企業のアジャイル開発導入事例”と題し、ニッセイ情報テクノロジー団保・共済ソリューション事業部 上席プロジェクトマネージャー 中野 安美 氏から講演があった。

自社のシステム開発時アジャイル開発を実践した事例の紹介があった。
アジャイル開発導入の経緯、プロジェクト立ち上げ時の各種取り組み、プロジェクト実施時に発生した課題及び実施した対策、成功の要因と効果、エンタープライズへのアジャイル開発導入に対する考察、ウォータフォール型開発へのアジャイル手法の部分適用について(良い部分を)等の話があった。

実践した結果の話であり、多くのノウハウが詰まった内容で参考になった。

Ⅱ.ソリューション講演
協賛企業3社から、自社のソリューションや事例等に関する講演が行われた。概略について報告する。

1.ソリューション講演1
“いまこそ、超高速開発ツール等の新技術を、基幹業務システムや情報系システムに適用すべき時が来た“と題し、株式会社インテリジェント・モデルから講演があった。

同社が提供しているバッチ処理の構築ツールである“ODIP”を中心に、大規模バッチシスム構築時の問題点と解決策、ODIPを採用するポイント、ODIPの特長と実績等についての話があった。

2.ソリューション講演2
“Web Performer 事例紹介 ー受託開発における高速開発ツールの適用ー”と題して、開発ベンダーであるキヤノンITソリューションズ株式会社と、ユーザ企業である日本証券テクノロジー株式会社から事例紹介が行われた。

キャノンITソリューションズ㈱からWeb Perfomerの紹介があり、コンセプトや効果等についての説明があった。

その後、日本証券テクノロジー㈱からWeb Perfomerの導入経緯、開発事例、効果等についての話があった。

3.ソリュ―ション講演3
“SAPIENSによる高速バッチ処理”と題し、サピエンス・ジャパン株式会社から講演があった。

超高速開発ツールであるSAPIENSの紹介、SAPIENSを使っての開発手法等の説明、その中で簡単に分散型バップロセスにより、高速バッチ処理用のAPを開発できるツールの紹介、導入事例の紹介等があった。

Ⅲ.全体的な感想
超高速開発とエンタープライズアジャイルに関して、“&”で結ぶことに少し違和感がある。

私見だが、超高速開発は“目的”で、エンタープライズアジャイルは“手段”ではないかと思う。

超高速開発コミュニティの事例や、2012年当時のエンタープライズアジャイルに関するITProの記事等を見ると、エンタープライズアジャイルの定義がされているが、明らかに手段の様に見える。

一例として(前回報告の時も取り上げたが)、JBCC株式会社の超高速システム開発で、要件定義等の上流工程はXupperⅡを使いウォータフォール型での開発を、以降のフェーズでGenexusを使用しアジャイル開発を行うハイブリッド型の開発の説明があり、成功している事例の紹介も行われている。

このJBCCの手法を使えば、前述の様な基幹系のシステム構築にも適用できると思うし、現実解としての超高速開発の一つで有望なあり方ではないかと思う。

小生も、2005年頃から超上流工程をXupperで行い、内部設計以降をNECのOrteus(現在のSDE)で反復開発を行ったことが有るが、システムの安定までの時間を大幅に短縮できたことを経験した。

今では、下流工程のツールも大幅に進化してきており、効果は大きくなってきていると思う。

何れにしても、超高速開発の目的は、経営のスピードに合わせて、スピーディに望まれる機能の提供を行う事であり、開発手法や方法論に拘らず、自社の状況に合わせた超高速な開発手法を採用することが重要だと思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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