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「Cybozu Days 2016」~共に生きる~

【クラウド見て聞きある記(その150)】
平成28年11月9日~10日に、海浜幕張駅近くの幕張メッセで開催された、サイボウズ株式会社主催の“「Cybozu Days 2016」~共に生きる~”が開催され、10日のみに参加した。

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“Cybozu Day 2016”は、昨年までは“Cybozu.comカンファレンス”と称していたが、クラウド版の契約ユーザ数が15,000社を超えたことで名称を変えて実施、2012年に第一回目が開催され、今年は6回目(2012年は2回開催)になる。

昨年までは、都内のホテルで1日のみの開催で、今年からは2日の開催で参加者の増加もあり、実施場所を幕張メッセに移し、大幅な会場の拡張も行い、9日にはサイボウズユーザ向け、10日は一般向け(協賛企業も参加しての展示会も併催)で実施された。参加者も昨年に比べ大幅な増加で、非常に盛り上がったイベントになっていた。

幕張メッセの会場は2階から入場するが、今回の会場を見てビックリ!“まるで遊園地”が率直な感想で、遊び心満載の会場になっていた。

広い会場を活かし、休憩スペースを多くとり、協賛企業の展示スペースも広く、参加者には勿論の事、協賛社、主催社にとっても優しい気持ちの良いイベントになっていた。

また、基調講演の前には本格的なオーケストラが入り演奏、イベントではよく音楽の演奏やDJが入る事はあるが、オーケストラとは、度肝を抜くには十分な試みだった。

放送局も設置されており、社長自らも参加してのトークやDJ等も行われていた。全体的に“お客様に来て頂く”という気持ちが表れており、今後のイベントの一つの形として、参考になるものと思う。

最近クラウドファーストは根付いてきており、クラウド利用は当たり前の事になってきているが、“作るより使う”というクラウドの利点が十分に生かされていない現状がある。

これは日本市場の特殊性によるものが原因であるが、システムのサービスが高度化し、細分化してきており、中々出来合いのサービスでは満足出来ないユーザの状況もある。

また、サブシステム間の繋ぎには、一般的にExcelを活用しているケースが多く、改善策としてのクラウド化による情報の共有を実現する要求も多い。

この為に、クラウド環境上でのシステム開発が必要となり、多くの開発ツール(環境)があるPaaS領域に、競争の主戦場が、コモディティ化してきているIaaSから移って来ている。

これらの状況を考えてみると、気軽にシステム開発に取り組めるPaaS上のツールが必要となるが、対象となる企業が多い中堅中小企業の事を考えて、機能や価格面を考慮するとKintoneが一歩抜け出ている存在になっている。

また、最近の最も旬な話題であるIoT関連でも、システム開発が必要となり、その性質からコンポーザブルな開発が有効で、エコシスムの構築と、IoTプラットフォームをどうするかがポイントになってくる。

これらの開発にもKintoneは適しており、エコシステムやプラットフォームをどうするかがポイントだと思う。

これらの最新の状況を確認するためにイベントに参加した。

午前中には、青野社長からゲストを迎えての基調講演が、午後からは、ランチセッションとブレークアウトセッションが5トラックで18セッション、またオープンセッションとして5会場で33のセッション、最後に特別セッションが行われ、併せてサイボウズ㈱とスポンサー企業48社が参加する展示会が行われていた。

内容も盛り沢山のため、基調講演を中心に概略を報告したい。

Ⅰ.基調講演
青野社長から「共に生きる」と題し、ゲストスピーカー4名を迎えて話があった。

サイボウズ株式会社での企業理念としてチームワーク溢れる「社会」と「会社」を創る、として各種の製品等を提供している事、2014年と2015年の活動の振り返り、今日のテーマ「働き方の先に何があるか?」を取り上げた背景等についての説明があった。

その後、今年、取り上げる3つのテーマを上げ、各々ゲストスピーカーを迎えて話があった。

1.まず、最初に取り上げたのが“格差”の問題で、ゲストとして、少子化ジャーナリスト、相模女子大学客員教授、「働き方改革実現会議」民間議員 白河 桃子氏を迎えて対話形式で話があった。

雇用形態による賃金の格差の問題や、経済成長に伴う相対的貧困の発生に関する問題、シングルマザーになった時の子供の貧困、女性の働き方に対する意識の問題(活躍したい、ではなくキチット働きたい)、働けない3つの壁(労働時間、税制、男女役割分担)の存在等について、具体的な数字を挙げての説明・議論が行われた。

最後に“共に生きるメッセージ”として、変わる時は犠牲が出る、一緒に手を携えて行く事が重要、という言葉で締めくくられた。

2.次に取り上げられたのが“男女の格差”で、ゲストとして、男性学で著名な武蔵大学社会学部助教 田中 俊之氏を迎えて対話形式で話があった。

男性学とは、“男性が男性だからこそ抱える問題”を研究する最先端の学問であり、「女性活躍推進」が叫ばれている今、女性が変わるためには、男性の生き方や働き方も変える必要がある。しかし変わるのは難しく、その原因と対策等についての話があった。

最後に、お互いの価値観を認める事と、選択をする事と責任論は分けて考える必要がある、との話があったが、まったくその通りだと思う。

3.次に取り上げられたのが“現場と情シス”の問題で、ゲストとしてKintoneを使ってEUDを実践している京王電鉄バス株式会社 管理部システム業務推進担当 課長 虻川 勝彦 氏を迎えて対話形式で話があった。

IT関連の人材不足が顕著化してきており、また、経営環境の変化に伴いアジリティな対応が求められ、IT業界は大きな課題を抱えている。

京王電鉄バス株式会社では、要員6名でエンドユーザ自身(EUD)でKintoneを使って150のシステムを開発した事例を中心に、取り組んだ背景や成功に導くための進め方等についての話があった。

その中でもデータ管理については全社レベルで管理を行う、という話があったが、ここがポイントだと思う。

4.次に取り上げられたのが、地域再生のための“在宅医療”について、ゲストとして医療法人ゆうの森 理事長 永井 康徳 氏を迎えて対話形式で話があった。

高齢化社会ならではの問題であり、食べられないのに胃ろう等による延命処置の問題、施設に預ける場合の課題等があり、最も大切なことは本人の気持ちを大切にする事、治療からよりそう医療への転換が大切等についての話があった。

Ⅱ.ブレークアウトセッシヨン
ブレークアウトセッションについては、5トラックで各々3~4セッション(全18セッション)が行われ、4セッションに参加した。内容が多岐に渡るため、その概要のみを報告する。

1.セッション1(ランチセッション)
“Kintoneフルコミット企業が伝えるKintone活用術”と題し、株式会社ジョイゾー 四宮 靖隆 氏、及び山下 竜 氏から講演があった。

株式会社ジョイゾーのKintoneを使った日本初の定額サービス(39万円/20万円)の内容、お客様事例、IoTへの取り組み内容等についての話があった。

2.セッション2
“地域、企業、疲弊したチームを蘇らせるIoTの未来実験”と題し、株式会社ウフル上級執行役員 IoTイノベーションセンター所長 八子 知礼 氏、株式会社ジョイゾー 山下 竜 氏、サイボウズ株式会社 社長室 フェロー 野水 克也氏から話があった。

野水氏の司会で20年後の高齢化の推移と将来計画を描くために必要となるIoTに関して、八子氏からそれらの内容と、山下氏からは具体的な実現例としてドローンの活用についての話があった。中々面白い内容だった。

3.セッション3
“Kintoneでビジネスを加速させる『現場主導』の業務改善”と題し、サイボウズ株式会社 Kintone エバンジェリスト 渋谷 雄大氏から話があった。

Kintoneの実績や歴史、業務改善や働き方の変革を実現している事例等についての話があった。

4.セッション4
“よりよい組織づくりが、よりよい人材をつくる ~フツ―の会社員が青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いたビジネスメソッド~“と題し、青山学院大学 特別研究員 陸上競技部長距離ブロック監督 原 晋 氏から講演があった。

詳細の内容は省略するが、単なるスポーツ根性ものの話ではなく、計画・計算が尽くされて勝ち取った優勝である事が語られ、非常に参考になる内容だった。

Ⅲ.特別講演
最後に、“特別講演 ―地域の活性化が国を救う―”と題し、元宮崎県知事 前衆議院議員 東国原 英夫 氏から講演があった。内容は省略!

Ⅳ.展示会について
展示会については、主催社及び協賛各社から製品やサービス/ソリューションに関する展示が行われていた。

特に、協賛各社からは昨年を大幅に上回る48社から展示が行われ、会場が広くなったため、各社のブースも広くなり、ゆっくりと質問が出来る様になっていた。

今年、目立ったのは、Kintoneで作るシステムの他システムとの相互連携機能や、各種の補完機能が増えている様に感じた。

その中でも、株式会社ジョイゾーのシステム39を始めとして、Kintoneを使い新しい形のシステム開発が出てきており、定着してきている事は注目すべき話だと思う。(中小ISVの参考になると思う)

Ⅴ.全体的な感想
今年は、会場が変わり手探りの運営だったと思うが、十分に狙いは達成できたイベントだったと思う。

大手のベンダーが行うプライベートなイベントは、大きく分けて2通りのパターンがあり、AWS、セールスフォース、オラクル、ヴイエムウェア等の様にイベントを(表現は悪いが)祭りと捉えて大いに盛り上げて、参加者を楽しませつつ自社の戦略や新製品の発表等を行うパターンであり、主として新しいマーケットを切り開いて行く内容が多い。

もう一つは、多くの国内の大手ベンダーが実施している様に自社の戦略や新製品の発表を中心に行う場と捉えてイベントを行うパターンで、主としてマーケットに追随する内容が多い。

ネットでの投稿を見ても、前者のパターンは非常に盛り上がり、参加して見たい、と思わせる事が多い。

今回のサイボウズ社のイベントは前者のパターンであり、国内の大手ベンダーのプライベートイベントとしては、珍しいパターンだと思う。

当然、話題性から言っても前者の方が効果は大きいものと思われる。

もう一つは、事例発表で京王電鉄バス株式会社からの発表で、Kintoneでの150を超えるシステムの開発を行った事例の発表があった。

その時、データの管理は全社で管理が・・、という話があったが、過去にWindowsの普及に伴いEUC/EUDがブームとなり、一気に広がったが、そこで問題になったのがデータの問題だった。

セールスフォース社は、Salseforse1での基盤を作る時に、データの統合管理を行った様に、各々のサービスで独自のデータ管理を行なう事は、システム開発や運用上で大きな支障が出てくる事は明白であり、それを見越して先手を打ったものと思う。

また、IoTの進展等により、データも構造化データから非構造化データが大半を占める様になり、どの様に管理を行うかが大きなポイントだと思う。

Kintoneが多くの企業で採用され、多様なシステムで使われる事は明白であり、データ管理をどのように行うかを明確にする時期に来ているものと思われる。有用な1日を過ごすことが出来たし、次回も参加したいと思ったイベントだった。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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