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「OpenStack Days Tokyo 2016」~10年先のプラットフォームへ~

【クラウド見て聞きある記(その140)】
平成28年7月6日~7日に、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された、OpenStack Days Tokyo 2016実行委員会主催(特別協力:日本OpenStackユーザ会)の“「OpenStack Days Tokyo 2016」~10年先のプラットフォームへ~”に、日程の都合上7日のみ参加した。

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OpenStackについては、当初他の陣営に比べて出遅れ感があり、実績面や目標とする範囲が広い等の課題があり、将来性について疑問を呈することが多かった。

しかしながら、相次ぐ大手の有力ベンダーのコミュニティへの参加、本格的な要員の投入等があり、年々急速な進歩を遂げて、今ではディファクトスタンダードの位置に上り詰めたことは間違いない。

事例に関しても、一昨年から急速に採用が進み、SIerやベンダーの採用に加え、ユーザ企業での採用が急速に広がってきており、事例発表でも良く紹介されるようになってきた。

また、今年のもう一つのテーマが“エンタープライズ”であり、全社規模での採用が進んできており、数多くのエンタープライズレベルでの事例の報告があったが、本格的な普及期に入った証左だと思う。

OpenStackが広まることにより、IaaS領域の標準化が進み、クラウドの利用環境のコモディティ化につながり、合わせてベンダーロックインからの脱却も可能となる。

このような中で、今後の方向性やベンダーの戦略や適用した事例等を探るために参加した。今年は、昨年に比べ一回り大きな会場だったが、登録者も2,500名を大きく超えて、スポンサー企業数も昨年に比べて大幅に増加する等、規模の増加に加えて、質の変化も出てきているように感じられた。

今回はセッションに加えて、スポンサー企業や団体による展示会が行われた。セッションは、両日共に午前中には基調講演とダイアモンドスポンサーセッションが、午後からは5トラックで各々5セッションが、展示会場ではミニセッションが行われていた。

展示会は協賛各社(37社)による製品やソリューション/サービスの展示が行われていた。2日目の基調講演及び各セッション、展示会に参加したのでその概要を報告する。

Ⅰ.基調講演(7日:2日目)
“エンタープライズに聞くOpenStack活用の心得。なぜOpenStackの導入を決めたか。”と題し、日本OpenStackユーザ会長及び、ユーザ企業3社(下述)から講演があった。内容の概略については以下の通り。

1.日本OpenStackユーザ会会長
海外ではOpenStackがエンタープライズレベルで、採用が進んでいることを具体的な企業名を上げて説明があり、併せて2014年と2016年の4月時点での数値の紹介があった。

これらにより、破壊的な革新と多様性が生まれている。日本でもエンタープライズレベルでの採用が出てきており、3社に登壇してもらうことになった。

□ JFEスチール株式会社 IT改革推進部 渡邉 健太郎氏から、グローバル展開に伴い、変化に強いITを目指しグループ企業(海外含む)の新しいクラウド基盤を構築するとき、実用性と将来性を踏まえてOpenStackを採用した事例の紹介があった。

□ 株式会社NTTドコモ ネットワーク開発部 担当部長 深江 誠司氏から、NFVの基盤としてOpenStackを採用した背景や、内容の概略についての紹介があった。

□ 富士通株式会社 デジタルビジネスプラットフォーム事業本部 本部長 太田 雅浩氏からすべての社内システムを、クラウド化するプロジェクトが進行中だが、その基盤にOpenStackを採用した事例の紹介があった。

Ⅱ.協賛企業講演/主催者企画講演
協賛企業講演として、午前中にダイアモンドスポンサー講演が、午後からは5トラックで各々5セッションが行われ、午前中と午後の5セッションを聴講したので、概略について報告する。

1.協賛企業講演(ダイヤモンドスポンサー講演)
“We are OpenStack Super Integrator! ~現場エンジニアが語る本当のOpenStackとは~“と題して、日本電気株式会社から講演があった。

実際にコミュニティに重要な位置で参加、NEC Cloud SyastemにOpenStackを採用した時の検証チームに参加、OpenStackを使ってSIを行う立場、NFVへのOpenStack適用した立場等、OpenStackを活用している各々の立場で、OpenStackの現状や課題、将来への期待等歯に衣をきせぬ内容で中々聞き応えのある内容だった。

2.協賛企業講演1
“OpenStackの導入を検討している方へ ~OpenStackの成功の秘訣と失敗談~”と題し、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、ソリニア株式会社から講演があった。

ITが第二の転換点を迎えている現状、OpenStack導入の典型的な失敗例、成功事例、成功企業の共通点等についての話があった。成功は、“正しい理解 × 正しいプロセス”という話があったが正にその通りだと思う。

3.協賛企業講演2
“OpenStackがなぜ必要なのか?素朴な疑問にお答えします。〜 OpenStackを使って社内で一旗揚げてやろう 〜“と題し、レッドハット株式会社から講演があった。

OpenStackの正しい理解、ユーザへ提供するコンピューティング環境、OpenStackを使って社内で一旗揚げる取り組み方法等についての話があった。

4.協賛企業講演3
“ITインフラの技術トレンド『ハイパーコンバージドインフラ』とOpenStackの連携“と題して、ニュータニックス・ジャパン合同会社から講演があった。

ビジネスがITインフラに期待すること、ニュータニックスのビジネス領域、OpenStackとの連携等についての話があった。

今、大きく注目されているハイパーコンバージドインフラでは、トップグループを走っている同社の、OpenStackへの取り組みには興味を持った。

5.協賛企業講演4
“Dockerストレージを管理するためにOpenStack Cinderを使おう!”と題し、ネットアップ株式会社から講演があった。

Dockerのエコシステムの最新版の解説や、Dockerストレージのオプションとして、OpenStack CinderをDockerのためのストレージマネージャーすることなどの説明があった。資料がかなり細かい英語で、通訳も非常に早口だったので、あまり理解できず!!

6.協賛企業講演7
“「OpenStackは作るフェーズから使いこなすフェーズへ? Blue Boxで実現する自動化?」と題し、日本アイ・ビー・エム株式会社から講演があった。

IBMでのOpemStackへの取り組み状況、コミュニティへの参加状況、先行プロジェクトでの導入ポイント(10個の)、OpenStack活用に向けて等についての話があった。

Blue BoxはOpenStackをベースに、すぐに使い始められるプライベート・クラウドの環境をサービスとして提供するもので、全体的にOpenStack活用が進んでいるようだ。

Ⅲ.展示会
37社からOpenStack関連の製品やソリューションの展示が行われており、昨年に比べて展示社数は減少(企業数は同じ位?)したが、展示内容については応用製品やサービスの多さが目につき、それだけ活用が広がってきている証左だと思う。

また、本格的な普及を目指すものであれば、横の連携が重要になるが(ベンダーロックイン回避の為にも)、実証を行う為の組織が立ち上がっており、支援を行っている等関わりをもっている企業も増加しているように感じた。

色々とブースで話を聞かせて貰ったが、熱の入れ様が伝わってきたし、説明もより具体的な内容になってきているように感じた。

Ⅳ.全体的な感想
採用企業も大幅に増え、エンタープライズレベルでの採用も増加してきている現状に加えて、OSSでは最大規模のコミュニティを形成しており、今後ともに急速な機能強化が期待できることから、本格的な普及期を迎えることは間違いないものと思われる。

今回のイベントに参加してみて、コミュニティの皆さんの元気の良さも感じることが出来、勢いを感じた。

また、これだけの多くのベンダーが本格的に採用を始めており、IaaS領域のコモディティ化も近いように思われる。

今回、機能が強化されることにより、導入に関するノウハウやインテグレーション力も必要になるが、幾つものベンダーが導入支援サービスについての言及があり、この面からの充実も期待して良い。

もはや、“採用するリスク”から、“採用しないリスク”に変わってきていることは、間違いないようだ。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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