ASP・SaaSナビTOP > コラム > 「Box World Tour 2016」

「Box World Tour 2016」

【クラウド見て聞きある記(その137)】
平成28年6月9日の午後に、渋谷ヒカリエホールで開催された株式会社Box Japan主催の「Box World Tour 2016」に参加した。

DSC_0623.JPG

Box World Tourは2014年から始まり、今年で3回目で、参加者も最初が700名、2回目が1,400名、今回が1,900名と順調な伸びを示しており、CMT(Contents Management Platform)分野への関心の高さが解る伸びだと思う。

CMT分野はクラウドの効果を最大限に享受するために、情報の共有環境として注目度が急速に高まっており、従来から無料で活用できる環境を強化して、ビジネスに活用できるようにした製品が多くのベンダーから提供されるようになってきた。

DropboxやEvernote等が無料アプリとしてリリースされ、個人での利用が広がってきて、それに追随する形でマイクロソフトやグーグル等の多くのベンダーからもアプリが相次いで出され、利用者も急増してきた。

また、個人ユースから企業としてのビジネスユースとしての要求(ファイルサーバの置き換え等のため)が強まり、各ベンダー共に大幅な機能強化を行い、有償版としてではあるが、相次いで製品の投入が行われている。

しかしながら、クラウド上でCMTを構築するためには、従来のファイルサーバに比べて、利用方法の複雑さ、外部にファイルを置くことによるセキュリティの確保、ファイル管理方法の厳格化、同時利用によるパフォーマンスの確保等の課題があり、単に機能上の比較だけではなく、微妙な調整が必要になる。

従って、トライアルでは成功しているものの、適用範囲の拡大を行う場合、必ずしもスムースには行かないように感じている。

このような状況の中で、最近、Boxを使ってエンタプライズレベルでCMTの構築を行った事例の報告が急増しているとの情報があり、内容を確認するために参加した。

Box World Tourは、9日の午後にオープニングキーノート、ユーザ企業を招いてのBox社からのセッション、ユーザ企業4社によるリーダーズトークライブが、同時に主催社と26社の協賛企業による展示会が行われた。昨年に比べて、会社の勢いそのものに格段に大きなイベントになっていた。

全てのセッションに参加したので、オープニングキーノートを中心に、その概略について報告する。

Ⅰ.オープニングキーノートスピーチ
Box Inc.の創業者/CEOのアーロン・レヴィ氏が来日しキーノートスピーチが行われた。

ビジネスの概況、CMTを取り巻くビジネス環境の変革のための4つの要因、Box(CMT)が必要となる背景、Boxの設計思想と市場に受け入れられている理由、具体的な事例等についての話があった。概略については次の通り。

①ビジネスの概況については、既に62,000社に採用され、UberやAirbnb等もユーザになっている。ビジネスも順調に拡大を続けており、日本でのビジネスも2014年に立ち上げ順調に推移している。

②4つの要因は、モバイルワーカの増加、ビジネスプロセスのコラボレーション化、ビジネスのデジタル化、サイバー攻撃の急増を上げて説明があった。

③劇的なITトランスフォーメーションが起こっており、より早く、より競争力を持って働かなければならないが、従来のツールでは邪魔にすらなっている。

④Boxは、シンプル、セキュア、オープンを設計思想としており、あらゆる人とのコラボレーションを簡単に実現し、どこからでもアクセス出来、共有することが可能となるために多くのユーザに採用されている。

・シンプルに関しては、すべてのデバイスからセキュアにファイル共有が可能な事や、他社ツール(MSのOffice365、Google等)等から簡単にアクセスすることが可能、社内外の人とのコラボレーションも容易に可能。
・セキュアに関しては、ガバナンスを含めて妥協なきアプローチを行っており、主要なセキュリティプラットフォームとの協業を行っている。また、Box Zoneとして日本国内にデータの保存が可能となり、お客様の要望に応えられる。
・オープンについては、BoxPlatformとして、連携をオープンにしており、一例としてユーザがアプリからBoxをバックエンドとして活用可能としているため、あらゆるユーザニーズに対応可能となっている。

等の話があったが、多くの企業に採用されている実績に裏打ちされた説得性のある自信と、ユーモアを交えたスピーチには共感するものが非常に多かった。

Ⅱ.主催者講演1
“日本企業のイノベーションを加速するBox”と題し、株式会社Box Japan代表取締役社長 古市 克典氏から講演があった。

ITの進化の現状及び進化が起こっている背景、ビジネスを支えるITシステムとは、Boxの優位性及び受け入れられる理由(利便性とセキュリティ)、IT進化時代の先を見据えて等についての話があった。

Ⅲ.ゲスト講演
“クラウドでグローバル競争を勝ち抜く~デジタル化に挑む資生堂の戦略~”と題し、株式会社資生堂 グローバルCIO 亀山 満氏より講演があった。

2016年1月に立ち上げたグローバルICT戦略の内容、Box導入に至った経緯、Vision2020を達成するための社員の意識改革の内容、今後の展望等についての話があった。

Box採用の経緯の中で“考えるべきはビジョンの実現”という話があったが、機能志向ではなく目的志向という考えで、非常に重要な事だと思う。

Ⅳ.主催者講演2
“今、ベールを脱ぐBoxの明日~最新ロードマップ”と題し、株式会社Box Japan テクノロジー本部 本部長 坂本 真吾氏から講演があった。

Boxの原点は“Enterprise File Sync & Share”から始まり、次世代コンテンツプラットフォームを目指している事、次の製品で当てているポイント、その中の4つのロードマップのトピック等についての話があった。

Ⅴ.リーダーズトークライブ
Boxユーザの4社からBoxの導入契機や、選定した理由、利用方法等についての話があった。 講演内容については報告を省略するが参加企業と講演者は次の通り。

1.塩野義製薬株式会社 経営戦略本部 経営企画部 Global IT戦略 グループ長  白波瀬 和裕氏
2.東京理科大学 学術情報システム部 情報システム課 課長 松田 大氏
3.株式会社LIXIL 情報システム本部 Information Excellence部 デバイスグループ 藤山 雅剛氏
4.アイレット株式会社 cloudpack事業部 情報セキュリティ管理責任者 齊藤 慎仁 氏

Ⅵ.展示会
主催者と26社の協賛企業からの展示が行われていた。Boxは多くのベンダーとの多様な連携を実現しており、PKGのデータの格納先、Boxに格納しているデータの入出力先としての連携、マイクロソフトやグーグル等のサービスからのエクステンションとしてのBoxの活用、管理機能等々、前年に比べて機能的に大きく進化した内容の、規模も大きく拡大した展示会となっていた。

展示社と色々と話をさせてもらったが、今後の機能強化に対応した取組等も、積極的に行う旨の話があり、Boxを中心としたエコシステムの構築にも期待できそうだ。

Ⅶ.全体的な感想
クラウドの利活用を推進するためには、情報共有基盤は必須であるが、従来より個別の機能(ファイルサーバやMCM領域)については、各種の製品が出されていた。

これは固有の処理を行うのには向いているが、CMTとして多様化する要求に対しては、大きな課題(使い勝手やセキュリティ及びパフォーマンス等)があり、個別の機能をビジネス向けに機能強化をして対応を行ってきたが、必ずしも十分に満足をえる状態には無いように感じていた。

今回、Box Inc.の製品の設計思想や製品の機能、事例等を聞かせて貰い、最初からCMTを実現するためのものであり、上述するような課題を解決するのに最適の製品ではないかと思う。

ただ、今回発表のあった事例についても、本格的な展開は今後との事で、日本の場合の要求機能の細かさもあり、もう少し注視してゆく必要もあると思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

アクセスランキング 総合


業種別メニュー

サービス別メニュー


このページのTOPへ