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「AWS Summit Tokyo 2016」

【クラウド見て聞きある記(その136)】
今年は昨年に比べて1日増えて3日間の開催になったが、1日目はパートナー企業向けで一般向けは2日と3日で開催された。パブリッククラウドのトップサービスベンダーのイベントとあって、興味は高く参加登録者の数も昨年に比べ大幅な増加の16,400名を超え(昨年13,900名超)たとの報告があった。

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AWS(Amazon Web Service) Summitは4月から世界各所(37ヶ所38回)で開催されるもので、AWSの各種サービスや活動を披露するとともに、ユーザの各種の事例を紹介することによるユーザ同士のノウハウの共有化等を推進する目的を持っており、AWSの最大規模のイベントとなっている。

AWSは、当初IaaS領域のサービス基盤のみの提供で、SIや補完サービス等の領域については、パートナーであるSIerが、という姿勢であったが、今ではサービスの領域も大きく広がってきていて、IaaSからPaaS領域や運用管理、連携機能等に拡大してきており、サービスメニューも50を超えるまでに増加してきている。

それに伴いリリース機能数(AWSイノベーションと称している)も2013年が280件だったものが、2015年には516件、2016年には722件と予想しており、急速な伸びになっている。

また、AWSの利用についても、基幹系を含む全てのシステムをAWS上に移す企業も急速に増えており、この動きは加速するものと思っている。

このような状況の中、クラウドを考える上で外すことができないAWSについて、最新の製品やサービス/ソリューション、先進ユーザでの事例、パートナー企業の状況等の情報を把握する為に参加した。

今回のAWS Summitは、2つの会場に分かれており、General Conferenceが国際館パミールで、Developer Conferenceが飛天で開催された。

General Coferenceでは、午前中の基調講演と午後のブレークアウトセッション(60+)、展示会が、Developer Conferenceでは午後のブレークアウトセッション(20+)とIoTを中心とした展示会等が、その外に各展示会場でのミニセッションやセルフベ―スラボ等が行われていた。

午前中の基調講演と午後のブレークアウトセッション、及び展示会に参加したので、基調講演を中心として概略を報告する。

Ⅰ.基調講演(キーノート)
基調講演(キーノート)は、2日と3日の午前中にユーザ企業のゲストを迎えて行われた。 概略の内容については以下の通り。

1.基調講演1(2日)
ホストとしてアマゾンウェブサービス ジャパン株式会社代表取締役社長 長崎 忠雄氏が、AWSのユーザ企業からゲストを迎えて、主としてAWSのビジネスを中心に講演があった。

今回のイベントの目的や規模(16,000人以上の登録、100以上のブレークアウトセッション、50以上の事例紹介、60社のスポンサー等)、アマゾンがどのように考えてビジネスをしているのか、最近決算を発表した結果95億ドルの売り上げに達したこと(従来は非公開)、なぜクラウド(AWS)の導入が加速しているのか、デジタルトランスフォーメーションの重要性、クラウドでできる6つの事等についての話があった。

また、AWSを利用しているユーザ企業3社が登壇し、自社でのIT化への取り組みやAWSの活用状況等についての話があった。ゲストスピーカーは次の3社。

 ① 株式会社ゲオホールディングス 業務システム部ゼネラルマネージャー 末延寛和氏
 ② 日本電産株式会社 常務執行役員 CIO 佐藤 年成氏
 ③ freee株式会社 代表取締役 佐々木 大輔氏

2.基調講演2(2日)
ホストとして、Vice President、Worldwide Commercial Salse and Business Development、 Amazone Web Services Inc.のMike Clayville氏から、ゲストスピーカー3名を迎えて、AWSの製品情報を中心に講演があった。

今後の10年を見た時にクラウド採用のポイントになる事、2010年以降のクラウド関連の動き、AWSの現状(64%の売上の伸び、100を超えるアクティブカスタマー、他社14サービスの合計と比較してコンピュートキャパシテイが約10倍等)、エコシステムの現状、AWSサービスの最新状況等についての説明があった。

また、ユーザ企業4社のゲストスピーカーが登壇し、クラウドへの取り組みや、AWSの活用状況、今後の予定等についての話があった。ゲストスピーカーは次の4社。

 ① 株式会社スクエア・エニックス 第2ビジネス・ディビジョン プロデューサー 本橋 大佐氏
 ② ソニー株式会社 執行役員 コーポレートエグゼクティブCIO 堺 文亮氏
 ③ スマートニュース株式会社 代表取締役社長 共同CEO 浜本 階生氏
 ④ IT CTO、GE Global Research Eric Tucker氏

Ⅱ.ブレークアウトセッション
ブレークアウトセッションについては、国際館パミール会場ではランチセッションと、ユーザ事例を中心として6トラック×5セッションが行われた。

飛天会場では2日は4セッションが、3日には3トラック×6セッシヨンが行われた。2日には、ランチセッションを含めて6セッションを、3日にはランチセッションを含めて3セッションを聴講した。多岐に渡るため、タイトルとポイントのみを報告する。

1.ブレークアウトセッション(2日)
“中堅・中小企業(SMB)向けAWS事例紹介”として、アマゾンウェブサービス ジャパン株式会社から講演があった。6社でのAWSの活用事例の紹介。

2.ブレークアウトセッション2(2日)
“10年オンプレミスで運用したmixiをAWSに移行した10の理由”と題し、株式会社ミクシィから講演があった。物理サーバ1,000台、論理サーバ2,000台の移行。

3.ブレークアウトセッション3(2日)
“Security by Design~AWSで実現する機能的で信頼性の高いガバナンスモデル”と題し、アマゾンウェブサービス ジャパン株式会社から講演があった。セキュリティを前提とした設計とは?

4.ブレークアウトセッション4(2日)
“数百件の対応事例から見るクラウド導入の虎の巻~設計、構築、運用からネットワークまで~“と題し、日本電気株式会社から講演があった。単純には行かない!

5.ブレークアウトセッション5(2日)
“FINAL FANTASY BRAVE EXVIUSにおけるAmazon Aurora、Amazon Kinesisの利用事例“と題し、株式会社スクエア・エニックスと、株式会社エイリムから講演があった。FFBEをAWSで稼働させた事例。

6.ブレークアウトセッション6(2日)
“SaaS on AWSアーキテクチャと7つのベストプラクティス”と題し、アマゾンウェブサービス ジャパン株式会社から講演があった。中々面白い切り口の内容。

7.ブレークアウトセッション7(3日)
“先進的な国内事例に学ぶAWS活用の最新トレンド”と題し、アマゾンウェブサービス ジャパン株式会社から講演があった。本格的な取り組みをしている事例。

8.ブレークアウトセッション8(3日)
“プラス株式会社・販売物流基幹システム、クラウド化への取り組み”と題し、プラス株式会社から講演があった。基幹システムのクラウド環境化へ、コストダウン。

9.ブレークアウトセッション9(3日:Dev.)
“AWS IoTサービスのご紹介”と題し、アマゾンウェブサービス ジャパン株式会社から講演があった。考えていたより遥かに練られたサービス。

Ⅲ.展示会
展示会については、国際館パミール会場では主催社の外、52社のスポンサーがAWS対応製品や、AWSに関するサービス/ソリューションに関する展示を行い、飛天会場では、主催社の外11社のスポンサー企業が、IoTを中心とした展示を行っていた。

昨年に比べて、最近では基幹系システムをAWS上で稼働させるケースが増加しており、それらに対応した製品やソリューション、オンプレからの移行サービス等の展示が目立った。

また、IoTやビッグデータ/アナリティクス等の旬の話題への対応や、最近重要視されてきた、ハイブリッドクラウド環境下での運用関連ソリューションや連携ソリューションの展示も数多く行われていた。

SMB市場へのAWSの活用についてベンダーと色々と議論をさせて頂こうと思っていたが、反対にどのようにすれば良いか等、反対に質問がいくつかあった。まだ手探り状態は続いているようだ。

Ⅳ.全体的な感想
パブリッククラウドサービスの圧倒的なトップランナーであり、従来のIaaS領域のプラットフォームベンダーから、PaaS領域やVDI等のモバイルに関する製品までにサービスの範囲も急速に拡大しており、アマゾンビジネスモデルを最大限に生かした活動になっている。

サービスの拡大に伴い、導入支援や各種の補完システムに関してはその重要性が増してきており、これらに対応するために、50社以上のパートナーによるエコシステムの構築等、着々と手を打っていることを知ることができた。

また、今後、急速に拡大が予想されるIoT/アナリティクスの領域については、いち早くプロダクトの投入を行い先行事例も多く出ていることから、この領域でもトップランナーとして市場をけん引してゆくことは間違いないことだと思う。(毎回書いているが)これらの拡大路線に対して、製品やサービスの数が増えるに伴い、ユーザへのサポート範囲も広がり、質の維持が難しくなって来ているように感じている。

最近、色々な話もよく聞こえてくるようになっており、このサポートの質をいかに保つかが大きな課題になって来ているのではないかと思っている。今回のセミナーや展示会でも、益々SIの必要性を取り上げるケースが多く見受けられ、その結果の表れではないかと考えている。

いずれにしても、AWSは魅力的なクラウドサービスである事は間違いなく、いかに活用するかが、企業のイノベーションを実現する為のポイントになると思う。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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