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“IBM Watson Summit 2016”~ようこそ、コグニティブへ~

【クラウド見て聞きある記(その134)】
平成28年5月25日~26日に、品川のグランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで開催された、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下日本IBMと略す)主催の“IBM Watson Summit 2016”~ようこそ、コグニティブへ~に参加した。

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今回のイベントはXCITEとして毎年この時期に世界各地で行われているもので、昨年は日本でもIBM XCITEとして実施されたが、今年は日本だけがIBM Watson Summitとして開催され、IBM Watsonを活用したコグニティブ・コンピューティングへの力の入れ様が伝わってくる。

このイベントでは、日本市場にIBMが投入する各種の製品や、テクノロジー、ソリューションに関するセッションと展示、ユーザを含む各種の適用事例の紹介を行うセッションが行われたが、今年はやはりIBM Watson関連の話が中心になっていた。

昨年は、クラウドサービスが中心で、SoftLayerとBluemixによる大胆なクラウド戦略や、大幅な投資増等、インフラの整備に中心をおいている、との内容だった。

今年は、このインフラの上にIBM Watsonを中心としたコグニティブ・コンピューティングを活用した各種のアプリケーションが構築をされ、かなりの広がりを持ってきているように感じている。

また、その時重要となるパートナー企業との協業の拡大や連携の為のAPIの管理機能の提供、各種の支援策も充実してきており、盤石なエコシステムの構築に向けて突き進んでいるように思われる。

一方、M&Aに加えて大手のベンダーやメーカー、SIerとの協業も積極的に進めており、従来は競合関係にあった企業(驚くような!)とも、協業を結ぶ等、本気度が伝わってくる動きとなっている。

結果として、クラウド市場で巨人AWSを追うクラウドベンダーとして、少しマイクロソフトのAZUREに水を空けられつつあったが、IBM Watsonを中心としたコグニティブ・コンピューティングで今回のイベントの盛り上がりを見ていると、起死回生の一手となる可能性を秘めているように思う。

今回のイベントは、セミナーは両日で116セッション+ハンズオンセミナーが行われ、内容としては、IBM Watson関連のテクノロジーの説明、IBMの製品やソリューションの説明、パートナー企業やユーザ企業による事例の紹介が行われた。

展示会については、IBMの製品やサービスに加えて、パートナー企業からも補完ツール、サービス等、88のブースに及ぶ展示が行われていた。

両日ともにゼネラルセッションから、午後のブレークアウトセッション、及び空き時間に展示会を見て回った。内容も多岐に渡っていることから、ゼネラルセッションを中心に報告をしたい。

Ⅰ.ゼネラルセッション
両日ともに午前中にゼネラルセッションが行われ、“コグニティブ”をキーワードにIBMの戦略や製品/サービスの説明、パートナー企業からのゲストスピーカー、ユーザ企業を招いてのパネルディスカッションやリレートーク等が行われた。
内容が非常に多岐に渡るため、概略のみを報告したい。

□.ゼネラルセッション(Day1:5月25日)
“Watsonではじめるコグニティブ・ビジネスの時代”と題して、具体的なアプローチ方法を5つのテーマに沿ってIBMから紹介があり、IBM Watsonを使った新しい取り組みを行っているユーザ企業がゲストスピーカーとして登壇し事例の紹介等があった。概略については以下の通り。

1.“ようこそコグニティブの時代へ”と題し、日本IBM株式会社 代表取締役社長執行役員 ポール 与那嶺氏から講演があった。

最近、企業のデジタル化が最も注目されており、デジタル化がもたらすもの、それを実現するものとしてのIBM Watsonを中心としたコグニティブ・ソリューションがあり、日本語化も既に完了している。

その中で“AIの議論は無駄! 早く使うべき”との話もあり、すでに実用化に移行している自信を垣間見ることができた。

2.“Watsonではじめるコグニティブ・ビジネスの時代”と題し、日本IBM株式会社 常務執行役員コグニィティブ・ソリューション事業担当 松永 達也氏とグローバル・ビジネス・サービス事業部 中山 裕之氏から講演が行われた。

Watsonの機能やサービスの適用例、企業におけるWatsonの適用事例、今後のコグニティブ・コンピューティングに向けて等についての話があった。想定以上に適用は広がっているように感じた。

3.特別講演として、“「IBM Watsonでビジネス変革」~リアルビジネスでの活用に向けて~“と題し、ソフトバンク株式会社 代表取締役社長兼CEO 宮内 謙氏から講演があった。

社内でIBM Watsonを中心に活用している6つのプロジェクトが走っているが、その概略と具体的なIBM Watsonを使った「SoftBank BRAIN」の紹介、IBM Watsonのビジネス状況等についての話があった。

4.パネルディスカッションが、東京大学医科学研究所 教授 宮野 悟氏、株式会社かんぽ生命保険 執行役 廣中 恭明氏、富士重工株式会社 取締役専務執行役員 武藤 直人氏、日本IBM株式会社 執行役員ワトソン事業部長 吉崎 敏文氏、ナビゲータ 日本IBM株式会社執行役員 池田 和明氏が参加し行われた。

自企業内でのAI/IBM Watson等の活用状況、課題、今後の事についての話が中心だった。 詳細内容は多岐に渡るため省略。

5.クロージングとして、日本IBM株式会社 常務執行役員コグニティブ・ソリューション事業担当 松永 達也氏、IBM BlueHub事業開発担当 大山 健司氏から、IBMのインキュベーション・プログラムである“BlueHub”の紹介と、Ⅱ期の活動結果についての報告・表彰式等が行われた。

□ ゼネラルセッション(Day2:5月26日)
“コグニティブ時代を見据えた新しいビジネスへのアプローチ”と題して、新しいテクノロジーの出現により、不可能が可能になったりして、新しいビジネスの形が次々と出てきている。

コグニティブとクラウドにより企業のあり方をどう変えてゆくか、事例を交えて紹介があった。概略について報告する。
1.基調講演1
“「コグニティブ」とテクノロジーが牽引するイノベーションの新たなかたち”と題し、日本IBM株式会社 執行役員研究開発担当 工学博士 久世 和資氏から講演があった。

IBMの調査結果によるテクノロジーの重要性等の紹介、IBM Watsonの歴史、進化するWatson API、更なる先を見据えて脳を模したプロセッサーや量子コンピュータの紹介等の話があった。

2.基調講演2
“コグニティブ・ビジネスを支えるハイブリッド・クラウド”と題し、日本IBM株式会社 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏から講演があった。

エンタープライズに求められるイノベーション、IBMの一貫したアーキテクチャによるクラウドプラットフォーム戦略、IBMのハイブリッド・クラウド対応、グローバル・パートナーシップと戦略的な買収等についての説明があった。

3.リレートーク1
“ハイブリッド・インフラストラクチャーの最適化/オープン・イノベーションを支えるAPIエコノミーとエンタープライズ・プラットフォーム“と題して、株式会社ワン・トウー・テン・ホールディングス COO/クリエイティブディレクター 小川 丈人氏、一般財団法人日本海事協会 新事業開発本部 情報技術部 次長 池田 靖弘氏、ナビゲータ日本IBM株式会社 クラウド事業統括CTO エクマン・ラスムス氏が参加して行われた。内容は省略。

4.リレートーク2
“インテリジェンスを得て進化するセキュリティ”と題し、中外製薬株式会社 執行役員 グローバルヘルスポリシー担当 IT統括部門長 河野 圭志氏、日本IBM株式会社 執行役員 セキュリティ事業本部長 志済 聡子氏が参加して行われた。内容は省略。

5.クロージングトーク
日本IBM株式会社 常務執行役員 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部長から本日の話のサマリーとして、コグニティブを支えるクラウド技術、コグニティブ技術によりコグニティブ・ビジネスへの変化、オープン・イノベーション等に関する話があった。

Ⅱ.ブレークアウトセッション
ランチセッションを含む116に及ぶセッションが行われ、両日で10セッションを聴講した。 内容的に膨大になる為に聴講したタイトル名のみを報告したい。

1.“IOTとWatsonが変えるモバイルの未来”
2.“スマート?ファクトリー実現への道”
3.“リアルタイム性を追求するオムニチャネル・マーケティング基盤とその活用の先行事例“
4.“コグニティブが実現する次世代ビジネス・プロセス変革”
5.“JALカードの顧客価値を高めるアナリティクスの取り組み”
6.“イノベーションに新たな潮流をもたらすブロックチェーン・テクノロジーとは”
7.“DevOPSを調べて気づきました。このままでは日本は世界からおいていかれると。”
8.“IOTとWatsonがつながる世界を劇的に変革”
9.“Watson IOT Platform:Failーfast、または計画的な冒険”
10.“IBM API Connectで始める、APIエコシステム”

Ⅲ.展示会について
展示会については、日本IBM株式会社及びパートナー企業から、91のブースを設けて、製品やソリューション/サービス等の展示が行われていた。

展示は、①コグニティブ体感With Watson、②コグニティブな顧客体験と意思決定、③コグニティブなアプリケーション開発とシステム基盤、④BlueHub、⑤Bluemix Garage Method、⑥Touch & Try Cloudゾーン、⑦Touch & Try Analyticsゾーン、⑧Watson、及びスポンサー・ゾーンに分かれて、各々のテーマに合わせて個性的な製品や補完ツール/サービス等の展示があった。

展示では、コグニティブ・コンピューティングを実現するための、クラウドのSoftlayerやBluemix、ビッグデータの管理や解析を行う為のSPSSやIBM Watson、各種のセキュリティ製品、APIのエコシステムの管理等々、幅広い展示が行われていた。

また、スポンサーによる補完機能やサービス、連携等が興味あるものが数多くあり、これだけの豊富な展示が行われていると、可なりの時間を掛けての見学が必要となるが、その価値はある内容だと思う。

Ⅳ.全体的な感想
クラウドに対する全体の戦略や、個別の製品に対する各種の戦略、コグニティブ・コンピューティングを中心とした製品やサービスの品揃え、パートナー企業との協業施策等々とIBMの懐の深さを、感じることができたイベントだった。

特に、セッションや展示を通じて、IBM Watsonの機能やサービス、クラウド基盤としてのSoftLayerやBluemix、その上で稼働する各種のプラットフォーム、APIやサービス等のエコシステム管理等、隙のない製品やサービスを確認でき、また、具体的な多くの事例を学ぶことができ、コグニティブ・コンピューティングの完成度高さを実感した。

今後については、企業としてコグニティブ・コンピューティングを活用して、いかにビジネスに結びつけることができるかであり、データサイエンティストの重要性が増してくるものと思われる。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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