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「cybozu.com カンファレンス 2015」~変える覚悟・変わる覚悟~

【クラウド見て聞きある記(その115 )】
平成27年11月5日に、赤坂のホテルニューオータニで開催された、サイボウズ株式会社主催の“「cybozu.com カンファレンス 2015」~変える覚悟・変わる覚悟~”に参加した。

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カンファレンスは第一回目が2012年3月に開催され、今回が5回目(2012年には2回開催)になるが初回より毎回参加している。参加者も初回が455名に対し、今回は東京と大阪で前年に比べて125%となる3,000名超えになったとの報告があった。関心の高さを表しているものと思われる。

従来から、システム開発の標準化やツールの適用、人材育成・人事評価、プロジェクト管理等のコンサルタントを行っており、クラウドの出現に伴いシステム開発のあり方について興味を持ち、情報収集を行ない中堅中小企業に提案支援を行ったことがある。

しかし、外資系のクラウドベンダーから提供されているPaaS上の開発ツールについて、中堅中小企業からは、機能には満足して貰うものの、最後の費用の詰めや効果の査定段階で不採用になるケースを多く目にした。(中堅ISV等からも同様の話が多い)

PaaS環境下でのシステム開発について、もう少し日本の中堅中小企業でも採用(提案)が可能なツールが必要と思い、探していたところKintoneに行き着いた経緯がある。当初は、APIも無く移行性や機能についても不足が目に付いたが、国産ツールだけあって、短期間に次々と機能強化が行われ、強力な開発ツールとして確固たる地位を築いて来たと思っている。

もう一つの大きな課題である費用面でも他ツールに比べかなり安価に設定されており、クラウドの利点である“小さく入れて大きく育てる”を実践が可能な開発ツールだと思う。日本の中堅中小企業では“月額五千円は高い”という感覚をもっており、大手ベンダーは“月額十万円は安い”という感覚があり、Kintoneの値付けは、このギャップをついた絶妙な設定だと思う。(5ユーザで月1万円を切るのであれば、薦めやすい!!)

この現状を受けて、リリース当初よりセミナーでの紹介やコラムで紹介を行ったり、幾つかのユーザに紹介を行ったりしたが、非常に受けは良く狙い通りのツールだと感じている。このような中、今回のカンファレンスには企業としての取り組み姿勢、企業文化、今後の戦略の一端を探るために参加した。

午前中には、青野社長からゲストを迎えての基調講演が、午後からは、14のセッション、ハンズオンセミナー、特別講演が行われ、併せてサイボウズ社の展示と協賛企業35社による補完/連携製品やソリューション/サービスの展示が行われた。内容も非常に多岐にわたることから、基調講演を中心に概略を報告する。

Ⅰ.基調講演
青野社長から「変える覚悟、変わる覚悟。」と題し、ゲストスピーカー5名を迎えて話があった。

「チームあるところにサイボウズあり」というサイボウズとしての覚悟の紹介や、活動の支援を行っている「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー」、「次世代リーダフューチャセッション」等の紹介を含めて、新規リリース機能、ロゴの変更、オフィスの移転、グローバル展開・強化の状況等の現状の報告があった。その中でKintoneの売り上げが1月~10月の集計ではあるが126%増と、PaaS領域での開発ツールとして突出しており、注目すべきことだと思う。

次に、昨年掲げた4つの課題(エネルギー問題、持たざる経営、少子高齢化、多重下請け構造)について、現状での取り組みに状況についての説明があったが、多重下請け構造以外については、かなりの具体的な取り組みがあった、との話があった。

今年は3つの課題(長時間労働、地方創生、新しいSI)を取り上げ、各々ゲストスピーカーを迎えて話があった。各々の課題について概略は以下の通り。

1.長時間労働
ゲストスピーカーとして株式会社ワークライフバランス代表取締役社長 小室 淑恵氏を迎えて長時間労働の解消に向けての取り組み等について話があった。

子育てや介護に関しては時間を割くことが必要になるが、そのためには長時間労働の問題を解決する必要があり、小室社長から自身の経験及び900社へのサポートを通じて得たノウハウや成功のパターン等についての話があった。

期間あたりの生産性から時間当たりの成果での勝負への変化が必要になるが、最後に青野社長から“帰る覚悟、帰す覚悟”との話があり、これが全てを表していると思う。“足らん足らんは工夫が足らん”という言葉があるが、正にこれを実践すべき時期に来ていると考えている。

2.地方再生
ゲストスピーカーとして、地方再生に取り組み成功している、神山プロジェクトを支援している徳島県特定非営利活動法人グリーンバレー理事長 大南 信也氏、住民の1割以上が移住者で占めるプロジェクトを支援する島根県隠岐國学習センター センター長 豊田 庄吾氏を招いて、成功に導いたポイント等について話があった。

最近、“地方消滅”という本が出て話題になったが、生き残りをかけた地方再生を行う為には、豊田センター長からは“変える覚悟”と“危機感”を持ち且つ人材育成が重要、大南理事長からは、変化の場を提供し“仕事を持った人を持ってくる”環境を作る事が重要、という話があった。最後に青野社長から“続ける覚悟、担う覚悟”という話があったが、外部の力を上手く利用し、共存共栄の道を探って行くために何をすべきかを考える事が必要だと思った。また、変化は思わぬところで起きる/起こす、との話もあったが、正にここが知恵の出しどころだと思う。

3.新しいSI
ゲストスピーカーとして、対面開発等の新しいSIに取り組んでいるアールスリーインスティテュート マネージャ 金春 敏幸氏、寝たきり社長として注目されている株式会社仙拓 代表取締役社長 佐藤 仙務氏を迎えて、経営環境の変化やクラウド時代での新しいSIの有り方について話があった。

金春マネージャからはウォータフォール型開発への疑問から、新しい開発手法“対面開発”への挑戦を行っており、課題と対策についての話があった。

ポイントは“作りきる覚悟と決める覚悟“佐藤社長からは、障害を持っている為に働く場所が無く、発想の転換を行い自分で働く場所を創る為に起業を行った経緯や、4名の障害者が働く会社に成長し、徐々に仕事が増えてきている現状についての話があった。

その中で、障害はITでカバー出来る事や上場を目指していること等、前向きでバイタリティ溢れる内容で、共感できる話が非常に多かった。佐藤社長とはFaceBookで繋がりを持っており、活動内容についてある程度知っていたが、話を直接聞くのは初めてであり感動した。

全体的な感想としては、日本の経営者のカンフアレンス時の基調講演の話としては異質の構成であるが、会社の在り方やIT企業として/ユーザ企業としての変わる覚悟等、今の課題にズバリと切り込んだ内容だったと思う。素直に聴け、考えさせられる話であり、引き込まれ有用な時間を過ごすことが出来た。

Ⅱ.特別講演
「変わりゆく世界と日本。これから必要な覚悟」と題し、ジャーナリスト 東京工業大学教授 池上 彰氏から講演があった。

東京工業大学の教授を引き受けた理由に続き、メディアが現在は思わぬ形での動いている事、クラウドやメディアが思わぬ事で世の中を変えている事等を、海外の出来毎やテクノロジーの変化(スマホ、タブレット、4K/8KTV等)等を絡めて話があった。

Ⅲ.ブレークアウトセッション
午後からは、ブレークアウトセッションとして、5トラック14セッションが、併せてハンズオンセミナーが行われた。内容も多岐にわたるため、聴講したセッションの題名とポイントのみを報告したい。

1.セッション1
「日経コンピュータの特集から読み解くクラウドの現在と未来」と題し、株式会社 日経BP 日経BPイノベーションICT研究所 所長 桔梗原 富夫氏、株式会社日経BP コンピュータネットワーク局 日経コンピュータ/ITpro発行人 吉田 琢也氏から講演があった。内容については省略。

2.セッション2
“「サイボウズ青野が訊く」星野リゾートの組織論”と題し、青野社長が、ゲストスピーカー 星野リゾート 代表 星野 佳路氏を迎えて、対話形式での話があった。人材マネジメントに関する話が、面白く非常に参考になった。

3.セッション3
“正しく恐れるクラウドのセキュリティ”と題し、サイボウズ株式会社から講演があった。 自社のクラウドサービスで実施しているセキュリティ対策について、かなり踏み込んだ内容の説明が有り、興味深い内容だった。ここまで説明をしきれるベンダーは少ないと思える。

Ⅳ.展示会
今年は、サイボウズ社からの製品毎の展示に加えて、協賛企業35社(昨年は30社)がグループウェアやKintone等の補完/連携機能や、ソリューション/サービス等の展示が行われていた。

展示の内容を見てみると、最近のシステム開発を行う場合に必要となる基幹システム等とのデータ連携や帳票系のソリューション、複雑なワークフロー等の補完/連携機能に加えて、データ分析、業務システム、新しい開発・契約方法の提案、最初の取り組みを支援するサービス等々非常に多彩な内容になっており、Kintoneの快進撃を伺い知ることが出来た。

PaaS上の開発ツールに関しては、ユーザ自身での開発が可能な事が特長として上げられ、Kintoneも同様の開発が可能であるが、機能強化が行われにつれて、複雑なシステムの開発が出来るようになり、SI・導入支援が必要となる為、今回の展示で昨年に比べ多くのベンダーからの展示があり、この傾向を表していると思う。勢いを感じる展示会だった。

Ⅴ.全体的な感想
参加者の急増が表している様に、全体的には非常に会社の勢いを感じる内容だった。

基調講演は青野社長から2時間、自社で取り組んでいる事の説明に始まり、会社の現状の後、日本が抱えている3つの課題に対し、実際に取り組んでいるゲストスピーカーを迎えて対話形式で進める方式で行われた。

海外のベンダーの様に参加者を飽きさせない構成になっており、引き込まれて短く感じた。 また、プレゼンテーション技術も上手く、自分の言葉で話し、資料に関しても最少の文字で作成されており、聴講者も字を追う必要が無く、参加者を飽きさせない工夫もされている様に感じた。

また、最初に会社として取り組んでいるワークスタイルの変革や、女性活用、社会貢献活動等を基調講演の最初に持ってくる事は、会社としての生きざまを明確にすることにより、社外へのメッセージの発信に繋がると共に、従業員への決意表明になるものと思われる。

Kintoneに関しては、導入数の増加、機能強化の状況、パートナー企業の増加パートナー支援の強化/エコシステムの強化、地方における普及支援等、確実に進化を遂げており、胸を張って推奨できるツールに育っている事を確認できた。いずれにしても国産ベンダーであり、このまま勢いを維持して欲しいし、海外進出も是非成功させて欲しい。

有用な1日を過ごすことが出来た。

 

コラム著者紹介
 
 
HNコンサルティング代表
永松 秀通 (ながまつ ひでみち)

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