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モバイルASP・SaaS業界第一人者たちが語る、業界の現状とこれから(後編)
「ASP・SaaSナビ」リニューアルを記念して9月29日に開催された「2009モバイルASP・SaaS最新事情」のトークセッション後半をお届け致します。
――なるほど。では、ユーザーが導入を検討するにあたって、どんなポイントを見分ければよいでしょうか?
中谷 さまざまなサービスがたくさんリリースされていて、正直なところ製品情報だけで見分けるのが大変になってきてきるため、最近、自分たちはストレートに「使わせてください」とお願いしています。
実際にノックをして「コンサルティングをしているので、御社のサービスを知るために使わせてください」と。ゲストID・PASSを発行して使わせていただけると助かります。。もっとも、そうでない会社もありますが。管理画面の使いやすさ、他社サービスとの連携も重要ですね。
「メールを配信するならこれ使ったほうがいい」「デザインに凝るならこっちのASPのほうがいいな」となったときのことを考えて、連携性をすごくチェックしますね。もう1つは、「ITに使われないかどうか」という点です。
以前、自分たちが携帯サイトの運営をしていたとき、アパレルの商品400商品を限られた時間でで登録するという作業をしていました。
ファイルに展開されたデータを、みんなで手分けして1個1個コピペ、コピペ、…といった作業をしていたんですが、人間、200個とか越すとだんだん眠くなってくるんですね(笑)。
でも、締め切りまでにアップしなきゃ、とみんなでボロボロになりながらやっていました。その時、「IT企業って、ITに使われる会社のことなんですか?」と当時の部下に言われて気付きました。「このシステムには、人間がITに使われてしまう面がないか?」というのは、チェックしているポイントです。
たくさんのサービスが提供されていることを考えると、コンサルタントやASP・SaaSナビのような媒体のようなサービスをコーディネイトする立場の人は今後すごく大事になっていくと思いますね。
――井上さんはいかがですか?
井上 今の会社を創業する前、ずっと外資系で営業をやっていた経験を活かして、ちがう角度からお話しすると、欧米ではパッケージソフトや、データベースをはじめどんどん先進的な事例が出ているのに、日本はなかなか導入が進まないのですよね。
チャレンジャーがいないというか、総サラリーマン状態というか…。できるだけリスクが少ないほうが良いという一方で、大企業やライバル企業が始めると、ぶわーっとみんな横並びに始めるという状況は見直したほうがいいと思います。
あとは、福岡で毎年開催されているビジネスサミットに先日、参加してきたのですが昨年話した「モバイル広告業界の問題は何か?→PCサイトで広告を出している広告主の中でモバイルサイトをもっているのは2割くらいで、PCのおまけのようなかたちになってしまっていること」っていうのと同じ話を今年もしていて、なかなか重い腰があがってないというのも考えるべき点ですね。
また、私が4年くらい前に体験した悲しい話として、ある大企業にプレゼンテーションをして、導入する直前までいったのですが、最終的な契約の段階になって「ビートレンドさん、帝国データバンクの評価点が最悪ですね。累積損失すごいですね」言われてしまって。
「それってツールと関係あるのでしょうか?」という…。そういう「典型的な日本社会」的な色が濃く残っていますね。もうちょっとだとは思っているのですけどね。
――吉田さんはいかがですか?
吉田 そうですね。私の場合は、「ツールを使いたい」という前に「モバイルサイトを作りたい」という相談からくることが多いんですよ。
「携帯サイトを作りたい」という要望を持たれているので、「ロックバード、どうなんだろう?」っていうところから話はスタートするんですが、よくよく聞いてみると「どんなモバイルサイトを作った方がいいのか?」っていうところから悩まれているケースが多々なんですね。
やりたいことやコスト感を聞いてみると、「ごめんなさい。それはうちでは実現できません」と、自社のものが合わないため他社の製品をすすめることもたくさんあります。
あとは、リテラシーの低い担当さんほど「ASP・SaaS的な製品だとなんでもできるんじゃないか?」と思っていることが多くて…。
つまり、業界全体がモバイルサイトに関する知識とか事例を世の中に出して、皆さんに知ってもらう前の段階にいるんですよね。そういった点で、私自身、業界人として情報発信していく重要性を感じています。
中谷 あとは、私は元々、出版や営業など全然ちがう畑にいたこともあるんですが、そういった業界って、業界同士の人間が一緒に飲んでフランクに情報交換したりしているんですが、モバイル業界は内向き(クローズド)なケースが多いなと感じていているため、「ライバルのことをもっと知ったほうがいいよね」とも思いますね。
良いところは良いところで尊重し合って、吉田さんのような場合、紹介したら「ありがとう」で終わらせず、紹介し返すとか、そういうことがもっと仕組み化されてもいいのかなと。
そういう意味では自分たちのようなコンサルタントなど業界を横断して見ていくような役割の人たちがもっと活躍していかなければだめだなというのは感じますね。自戒を込めて…。
――なるほど。では、モバイルならではで広がるASP・SaaSの取り組みや将来的な展望などをお聞かせください。
井上 なかなかいいテーマですね(笑)。日経新聞などでも最近、クラウドコンピューティングという言葉が、毎日のように紙面に出てきますが、もう1つ、モバイルコンピューティングというのが、これからは注目されるのではないかと思います。
モバイルならではの取り組みということで話すと、例えば、メールの場合、携帯のメールとPCのメールってまったく別媒体ですよね。
PCのメールは「パソコンを立ち上げて、メーラーを起動して、送受信ボタンを自分で押したら、メールが来る」という、自分で行動しないとメールが来ない「プル型」で、一方、携帯はメールが来たら「受信しました」と教えてくれる「プッシュ型」。そこが全然ちがうところですよね。
マーケティングやプロモーションはプッシュ型の携帯のほうがいいのですが、企業のマ-ケティング担当者自身がそのことにまだ気付いていなかったり…。
CRMは、PCのメールマーケティングの世界観で語られてきましたが、今後はモバイルの世界観で語られて来るかと思います。
マクドナルドの例を見ても分かりますよね。1,500万人も会員がいて、会員登録している人にプッシュで値引きのクーポンを送るわけですから圧倒的です。
あとは、位置情報ですね。例えば、今、ここ(秋葉原)で「イタリアンレストラン」とPCで検索すると、ミシュランガイドなどに載っているレストランなんかが出てきますが、近い将来、ここで、携帯で検索すると、位置情報を元に神田や秋葉原界隈のイタリアンレストランが出てきたりするのではないかと思います。全然、検索の質がちがいますね。
ムービングターゲットに対して、どのようにアプローチしていくかというところが、携帯ならではの世界として進んでいくと思います。
――PCとモバイルで利用シーンは異なるのでしょうか?中谷さん、いかがですか?
中谷 使われ方も使い方も本当にちがいますね。最近、「スマートフォンがこれだけ流行っているんだから、モバイルはもういらないんじゃないの?」「モバイル用にサイトを作らなくてもいいのでは?」など、知らない人ほどおっしゃるんですが、実際にモバイルを使って展開するマーケティングとPCを使って展開するマーケティングって本質的にちがうんです。
井上さんもおっしゃっていましたが、位置情報やプッシュ・プル型のほか、「アフォーダンス」というんでしょうか……デバイスとユーザーとの間に「なんとなくある空気感」のことだと思ってもらえればいいかもしれません。これがちがいます。
例えば、PCに向かってメールを書いているときと、携帯に向かってメールを打っているとき、思い入れの強さが全然ちがってませんか?そうじゃないと狂ったように「このサイトが大好き!」っていうユーザーさんを携帯サイトはわりと簡単に作れちゃうことに対しての説明がつかないんです。PCであれほど熱狂的ファンを作ろうと思っても、何年かかるかわからないし、たぶん到達できないだろうと思います。
でも、携帯を介したコミュニケーションは、その企業やブランドが好きで好きでたまらないという、ファンを作るものすごい力を持っているんですよね。業界内の一部では「モバイルマジック」と呼んでいるようですが、この「マジック」を発生させられるデバイスは、携帯しかないと思います。
たとえスマートフォンになっても、こういったモバイル的なコミュニケーションは残ってゆくし、むしろモバイル向けの利用に対するサイトの最適化策がどんどん考えられていくでしょうね。
――ASP・SaaS業界で、スマートフォンの開発は避けて通れないところなのでしょうか?
吉田 そうですね、絶対避けて通れないところでしょうね。端末として確実に普及していくと思います。
ただ、携帯電話とスマートフォンではできることがあまりに異なるので、ちがう機能や新しいASP・SaaSサービスに対するニーズが起こるだろうなと考えています。
1つ面白い現象があって、これまで、携帯は若い女性がメインユーザーでしたが、スマートフォンやiPhoneのメインユーザーはパソコンのパワーユーザーが多いんですよね。これは、今まで、携帯で拾えなかった層がiPhone・スマートフォンで拾えるというのが特徴的です。「これがいい!」「絶対にこれが来る!」というのはまだ私の中で答えが出ているわけではないのですが、アメリカと同様、日本でもiPhoneの普及とともにTwitterの二次ブームが起きたように、そこに、この先のモバイルのサービスやASP・SaaSのサービスって答えがあるような気がしています。
スマートフォンのようなデバイスが出てくることで、今のモバイルのコンテンツなどにも影響を与えるでしょうし、スマートフォン自体で有効になるTwitterとはまったく別のコンテンツも流行ってくるかもしれません。ただ、その流れに焦って、乗る必要はないと思うんです。
たとえば、おサイフケータイとかもそうですが、そういった携帯のサービスって4~5年前くらいからあるんですが普及率はゆっくりしか上がらないんですね。スマートフォンの場合はもう少し早く何かが起こるかもしれませんが、意外に携帯端末が国民に普及し過ぎているがために、全員が同じレベルに達するのにちょっと時間がかかるように思うので、そこは「携帯ユーザーがメインだけど、スマートフォンユーザーもいる」といったとらえ方で、慎重に見極めていきたいですね。
加えて、セミナー終盤では、井上氏から「ASP・SaaSのちがい」に関するレクチャーも。
――「ASP・SaaSのちがいって何なの?」って聞かれたとき、明確に答えるのが難しいことが多々あります。是非、教えてください。
井上 今日は、この話を是非したいと思っていました(笑)。ASP事業者とSaaS事業者間で、「ASPなのにSaaSと言ってる」とか、「SaaSなのにASPと呼んでいる」会社があり、そのへん、1回整理したいと思い、こういった業界の方たちがいる場でゆるく総意を作っていきたいなと思います。これは(以下は)、あくまで私の定義です。
ASP: アプリケーションをプロバイド
開発・運用固定費を想定利用企業数で割ってサービス料金を計算し、長期回収するモデル。
初期費:○○○万円、月額:○○円。
単独で成立するシステム、拡張機能はカスタマイズ。
井上 ASPは「アプリケーション サービス プロバイダ」の略。アプリケーションサービスをプロバイドするんですね。
これは事業計画的に言うと、開発費と運用固定費を企業数で割って、長期的に回収するイメージです。
基本的には単独で何か業務システムを肩代わりして開発して運営しているわけで、拡張機能は「1カスタマイズあたり○円です」といった感じですね。
SaaS: サービスのようなソフトウェア
ユーザー数や利用従量に応じて課金(使った分だけ課金)。
ユーティリティ/インフラ的(電気・ガス・水道料金のような)。
初期費用:無料、○○円/ユーザー、○○円/使用従量。
拡張機能を、Web2.0やPaaS的アプローチで連携することで提供。
井上 SaaSは「ソフトウェア・アズ・ア・サービス」の略。サービスのようなソフトウェアですね。
「使った分だけ、課金します」というものです。イメージ的には水道代や電気代に似ています。
例えばダムを建設して、それを人数で割って、「1リットルあたり○円です」というやり方でなく、「適正な価格で割り出していって、たくさん水を使う人はたくさんお金を払う」というものです。
例として、携帯電話で「見られた分で課金します」「作ったページ数で課金します」というのは、極めてSaaS的です。連携できるというのもSaaSの特徴ですね。
一方、PaaS、これはセールスフォースが作った言葉ですが、「プラットフォーム・アズ・ア・サービス」の略です。サービスのようなプラットフォーム。
これは、システム自体をさまざまなアプリケーションで貸していくというものです。
クラウドコンピューティング:
設備が世界のネット上のどこで運営管理されているのかユーザーにわからない。
ネット経由でアプリケーションを使う。
井上 クラウドコンピューティングはもう少し大きな概念として、設備環境が世界のネット上のどこで運営されているのかユーザーにはわからない。
わからないのですが、セキュリティー的な話は「Google」など運営側の信頼感によってユーザーが安心して、ネット経由でアプリケーションを使うというのがクラウドコンピューティングです。
モバイルコンピューティング:
自社システム、SaaS、クラウドコンピューティングなどサーバー側を問わず、システムをモバイル環境に最適化して利用する
井上 モバイルコンピューティングは、自社システムやSaaS、クラウドコンピューティングなどサーバーを問わず、システムをモバイル環境に最適化して利用しているというものです。
井上 私もいろんな人に聞いてみると、「SaaSはWeb2.0」「他者と連携できるのがSaaSでできないのがASP」とかそれぞれ言うことがちがって困っているので、こういった(上記のような)定義付けをさせていただきたいと思います。
――ありがとうございました。
ビートレンド株式会社 会社概要
| 社名 | ビートレンド株式会社 |
|---|---|
| URL | http://www.betrend.com/ |
| 所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目22番24号 泉赤坂ビル3F TEL. 03-5549-2380 FAX.03-5549-2381 |
| 事業内容 | モバイルマーケティング・コマースのSaaS事業 |
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トリムタブジャパン有限会社 会社概要
| 社名 | トリムタブジャパン有限会社 |
|---|---|
| URL | http://www.trimtab.jp/ |
| 所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-8 DFビル5F |
| 事業内容 | 1.モバイルを活用した顧客戦略コンサルティング 2.新規事業構築コンサルティング 3.モバイル/クロスメディアの広告/コミュニケーションプランニング 4.WEB・モバイルサイト、コンテンツの企画・設計・構築 5.モバイル/クロスメディアマーケティング研修・OJT |
株式会社イオス 会社概要
| 社名 | 株式会社イオス |
|---|---|
| URL | http://www.e-o-s.net/ |
| 所在地 | 【本社】 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-17-5 原宿シュロス城西ビル604 TEL. 03-6438-9955 FAX.03-5771-3021 |
| 事業内容 | 1.ビジネス&ソリューション事業 総合デザイン/インターネットソリューション/モバイルソリューション 2.Rockbird事業 モバイルサイト構築プラットフォーム開発/提供 3.モバイルコンテンツ事業 4.モバイルコマース事業 |
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